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ジャスネット 韓国IT技術者の派遣増で大幅な事業改革 年間200人規模で日本IT企業に

2004/04/05 20:44

週刊BCN 2004年04月05日vol.1034掲載

 韓国人IT技術者を育てて日本のIT企業に派遣しているジャスネット(JASNET、宮崎直栄社長)は、派遣技術者の増加を図るため、①より高度なIT技術に関する教育への内容強化、②日本国内での教育拠点の開拓、③韓国内のIT企業と人材育成で提携──するなど、大幅な事業改革を実施する。同社は過去4年間で、日本のIT企業66社に約300人を派遣。今後は、年間200人規模で派遣できる体制を整えることを目的にしており、首都圏のIT企業だけでなく、韓国と関連が深い九州地区のIT企業への派遣策などを実施する。

 JASNETは、2000年に日韓政府間で結んだ「日韓IT協定」に基づき、01年に韓国人IT技術者の受け入れ窓口として経済産業省に認定されている。設立は98年だが、認定を受けたことでアルゴ21やピーシーエーなど日本国内のIT企業10社が出資し、受け入れ先企業としても協力している。

 事業改革の一環として3月には、韓国のCBD(コンポーネント・ベース・ディベロップメント)大手のネクスジェン(NEXJEN)と人材育成などで提携。韓国人IT技術者が一定期間、日本のIT企業に派遣されたあと、帰国後の派遣先の受け皿企業として活用する。「将来的には、ネクスジェンが日本のIT企業が使うオフショア開発の拠点としての役割も果たすことになる」(宮崎社長)と、長期的に人材、スキルを有効活用するという。

 教育内容については、現在、JavaやC言語のプログラマ、UNIX系システムエンジニア(SE)などの基本課程カリキュラムを設定している。だが、来年度(05年3月期)からは、携帯電話やデジタル家電など日本国内の需要増に応えエンベデッドソフトのほか、電子カルテやCBDなど、最先端のIT技術に関する教育も基本課程として実施する方針だ。

 また、これまでは韓国内の大学やIT教育機関などを活用し、日本や韓国のIT技術者が講師となり教育をしてきたが、4月からは、日本国内でも教育拠点を設置。さらに、韓国の大学卒業者のみをIT技術者養成の対象にしてきたが、来年度からは、大学在学中の学生にも対象を広げる。教育拠点としては、福岡県にあるNPO(特定民間非営利団体)でオープン系IT技術者育成を手がける高度IT人材アカデミー(AIP)と提携し、早ければ今年9月にも韓国人IT技術者向けにJASNETのカリキュラムを開始する予定。

 九州地区では昨年2月、九州電力グループの人材サービス会社である九電ビジネスフロント(QBフロント)と提携し、JASNETの九州地区の企業や公共機関に紹介する事業を開始している。

 宮崎社長は、「九州地区は韓国とのつながりが深く、韓国人IT技術者の需要も高いはず。今後、同地区での活動を活発化させる」と、意欲的だ。
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