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富士通ビジネスシステム ERP新プロジェクトを全国展開 収益率拡大に手応え

2004/04/19 20:44

週刊BCN 2004年04月19日vol.1036掲載

 富士通ビジネスシステム(FJB)は、ERP(統合基幹業務システム)ビジネスを改革する「情報投資対効果提案プロジェクト」の全国展開を4月から開始した。同プロジェクトは昨年10月から都市部に限定して実施し、関連する商談で営業利益率を従来比で10%以上を高めるのに成功した。ERPビジネスは競争激化、単価下落が激しいが、FJBでは情報投資対効果提案プロジェクトの全国展開により収益率拡大に力を入れる。

 FJBが4月から全国展開を進めている「情報投資対効果提案プロジェクト」は、IT投資によって売上増加に結びつく“効果”を提案するプロジェクトとして昨年10月からスタートした。具体的には、売上増加に直接関わる営業担当者向けのグループウェアなど情報系システムを拡充することで、営業効率を高めることにつなげる。

 これまで、グループウェアは社内の情報共有には威力を発揮していたものの、売上増に直接的に結びつかないことが多かった。FJBでは、この情報系システムをERPに結びつけ、受発注情報や売掛金管理、与信管理など顧客企業のビジネスに直結する情報をグループウェアに引き出して顧客の営業効率を高める提案に乗り出した。ERPは、顧客の使っている基幹系システムから情報系システムに情報を出せない場合、はじめてERPを提案する。

 FJBの藤本政久・マーケティング本部営業推進統括部ソリューション推進部長は(=写真)、「顧客企業から“ERPを刷新したい”というダイレクトな注文が来たときは、要望どおりERPを納入するが、そうでないケースでは顧客の営業効率を高める商談から入っていく」と、これまでのERPを前面に押し出す提案手法を変えた。顧客企業がすでに使っているERPから、FJBが提案する営業力強化のための情報系システムに情報が引き出せる場合は、敢えてERPの再構築は提案しない。このため顧客あたりの商談金額は増えにくい構造にある。

 しかし、この半年間、プロジェクトを通じて行った商談では、「商談金額は増えなくとも、営業利益率は従来比で10%以上高まった」(藤本部長)と、他社との競合が激しいERP単体の商談よりも顧客からの値引き圧力が軽減できることから、1件あたりの利益率は確実に高まった。同時にERPの商談そのものでも優位に立つことが増えたという。「単純にERPが欲しいという顧客は減っており、売上拡大を実現できるIT投資に主眼が移っている」(同)ことから、FJBの今回のプロジェクトは、顧客に受け入れられやすい。商談で優位に立つことで獲得できる案件数の増加と、案件あたりの利益率改善を図ることで、ERPビジネスにおける増収増益を狙う。
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