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ITSSP 中小企業のIT化支援が6年目に突入 活動の継承と発展を模索

2004/04/26 20:44

週刊BCN 2004年04月26日vol.1037掲載

 独立行政法人の情報処理推進機構(IPA)が進めている中小企業のIT化支援活動「ITソリューション・スクエア・プロジェクト(ITSSP)」が、4月で6年目に入った。1999年度に3か年計画で始まった同プロジェクトは、その必要性から3年間延長措置が取られている。1つのプロジェクトとしては異例の長さとなるが、プロジェクトとしてはひと区切りつける段階にきており、今後は、ITSSPで培った中小企業IT化のノウハウをどう継承・発展させていくかが課題となっている。

 今年3月、ITコーディネータ協会がまとめた「ITSSP事業事業調査評価報告書」によれば、この5年間で同事業に参加した中小企業の経営者数は延べ2万4000人以上に達し、ITSSPの活動の一環として制度化されたITコーディネータの延べ推定参加者数は3400人以上と、ITSSPは全国レベルの大規模な活動を展開してきた。

 ITSSPの発足当時は、中小企業がITを活用することで競争力を高められるという啓蒙セミナーが中心だったが、ITコーディネータ制度の定着や、より実践的なIT活用の必要性などから、プロジエクトの期間を延長した。4年目以降は「経営者研修会」などの活動を通じて経営者自らがITを活用した「経営戦略の立案」や「情報化計画の策定」ができるように、より実践的な教育に軸足を移してきた。

 だが、ITSSPは今年度で6年目を迎え、プロジェクトとしては異例の長さに批判も出ている。これについて、ITSSPに詳しいプロセス経営研究所の川内晟宏代表は、「ITコーディネータ制度もやっと軌道に乗り始めたばかりで、中小企業のITを活用した経営革新もこれからが本番。6年間やってきたからといって、それであっさり幕を引ける状態ではない」と、プロジェクト終了後も何らかの形でITSSPの活動の継承と発展が必要だと指摘する。

 これら要望を受けて、IPAの萬井正俊・人材育成推進部長は、「まだアイデアの段階だが、これまで全国一律で展開してきた活動を、例えば都道府県レベルに落とし込んでいく手法や、一部の活動を民間を中心とした活動へと移行していくなど、よりきめ細かく中小企業のIT化を支援する体制作りができないか検討中」と、全国一律の活動から地方自治体へとITSSPの活動を広げ、さらに民間活力も取り込めるようにするなど、これまでITSSPで培ってきたノウハウを継承・発展していく事業モデル策定を模索している。

 経済産業省では、早ければ4月中にも民間活力を活用した「中小企業の経営改革をITの活用で応援する委員会」、通称「IT経営応援隊」を発足させる準備を進めており、ITSSPとの連携が期待されている。自治体との連携はまだこれからの課題だが、ITSSPの活動スピードを速め、活動をより深く浸透させていくためにも早期の連携実現が求められている。
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