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「デジタルときわ荘」プロジェクト CGアニメの若き作家を支援 6月末までに第1回募集、大阪市など参画

2004/06/07 20:49

週刊BCN 2004年06月07日vol.1042掲載

 パーソナルCGアニメの若手作家を大阪に集積し、新しい文化の発信を目指す「デジタルときわ荘」プロジェクトが動き出した。大阪市や大阪府といった自治体も支援するが、プロジェクトの運営は民間主体、ファンドを組成して捻出するのが同プロジェクトのミソ。単なる支援事業にとどまらず、ビジネスとして成立させることが目標で、2005年9月をめどに第1弾作品のDVD発売を目指す。

 プロジェクト名は、手塚治虫や藤子不二雄、石ノ森章太郎など漫画界の巨匠達が青春時代を過ごしたアパート「トキワ荘」からとった。パーソナルCGは、デジタル技術を駆使することで、個人や少人数のユニットで制作が可能。公募で優秀な作家を集め、バーチャルではなく、リアルの住居や工房を提供し、互いにインスパイアしながら、作品のレベルを高めていくことを目指す。

 発起団体には、大阪市や大阪府も名を連ねるが、事務局はデジタル影像文化の振興を図っている特定非営利活動(NPO)法人のDoGA(かまたゆたか代表)や学生映像コンテストなどを手掛けるスーパーステーション(野村卓也社長)が務める。6月末までをめどに第1回目の作家や作品を募るが、以降も常時応募を受け付ける。作家や作品を見極めたうえで、ベンチャー育成も手掛けるエンゼル証券(田中勝真社長)がファンドを組成し、資金調達を行う。年内に開設予定のデジタルときわ荘を住居・工房として提供するほか、制作費や機材なども提供。作家の負担は基本的にゼロとする。すでに企業や個人などから資金のほか、機材や販売チャネル提供など、様々な形態での支援の打診があるという。

 スーパーステーションの田崎友紀子取締役は「ハリウッドの強さは、優秀な才能が自然と集まってくるところにある。今回のプロジェクトでは少なくとも3人以上の作家を支援し、互いに磨き合うとともに、さらなる才能を呼び込める環境を作りたい」としている。

 日本のパーソナルCGアニメでは、新海誠監督作品「ほしのこえ」が01年にDVD化され、国内外で10万枚を売り上げた実績などがある。自治体の支援も得ながら、民間主体でビジネスモデルを確立し、大阪をパーソナルCGアニメの集積地としていきたい考えだ。
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