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NTTサイバーコミュニケーション総合研究所 「シェアードPC」を開発 1-2年以内に商用化へ

2004/06/07 20:49

週刊BCN 2004年06月07日vol.1042掲載

 NTTサイバーコミュニケーション総合研究所(安原隆一所長)は、ICカードを挿入しパスワードを入力すれば、どこのパソコンでも普段使用している設定で使うことができる、「シェアードPC」システムを開発した。会社内で使う自分のパソコンの環境を他のパソコンでも再現し、利用・更新・修復できるシステム。同研究所では、昨年度からインターネットカフェ事業者と実験を進め、「技術面をクリアし実用化の段階になった」(中濱清志・NTTサイバーソリューション研究所第一推進プロジェクトディレクタ主任研究員)という。今後1-2年以内にNTT東西の関連企業で、商用化を目指す。

 シェアードPCは、ICカードを差し込みパスワードを入力するだけで、自分用に設定したパソコン環境を他のパソコンで実現する。このシステムを使えば、ビデオチャットなどがスムーズに動作する。

 文字変換モードや入力環境、辞書機能、ブラウザ上のインデックスなど、自分用に設定したパソコン環境を再現。利用終了時には、ハードディスク上の作業ファイルを自動消去するが、IPネットワークを通じたサーバー上にファイルが蓄積されるので、作業で変更したファイルはリストア(修復)し、保存される。

 昨年8月には、パソコンの時間貸しレンタルスペース「DESK@(デスカット)」を運営するコクヨと東京都内の店舗で共同実験を進め、技術面と利用ニーズなどを検証した。「SSL(公開鍵暗号)を採用し、サーバーに高速でバックアップする仕組みを完成させ、セキュリティなどは万全になった」(中濱主任研究員)と、NTT東西関連のシステムインテグレータなどと協力して、商用化を目指す。

 同研究所では、レンタルオフィス、インターネットカフェ、学校のパソコン教室など、不特定多数が利用するパソコンスペースに導入が進むと見ている。また、「会社に専用サーバーを置くか、ISPのASP型サービスとして、シェアードPCを組み合わせ、一般企業向けソリューションも考えられる」(中濱主任研究員)と、企業への拡販も視野に入れているようだ。
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