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ビットワレット 電子マネーの利用可能店を来春までに3万2000店舗へ 発行枚数は1000万突破見込む

2004/07/12 21:03

週刊BCN 2004年07月12日vol.1047掲載

 プリペイド型電子マネー「エディ」を発行・運営するビットワレット(川合成幸社長)は、エディを利用できる店舗数を来年3月までに、現在の3倍以上にあたる3万2000店舗まで拡大させる。NTTドコモがソニー規格の非接触型ICカード技術「フェリカ」を搭載した携帯電話でエディを利用できるようにしたことで、エディの発行枚数が来年3月までに現在の約2.5倍相当の1000万枚まで増えると予想。営業担当者を拡充し、利用可能店舗の拡充を急ぐ。

 エディの発行枚数は今年4月末時点で約400万枚、利用可能な店舗数は約6400店舗。これに対し、今月末の段階ではそれぞれ450万枚、9000店舗を超す見込みにある。エディサービスは、エディ機能を搭載したICカードに専用端末から入金することで、加盟店舗での買い物がキャッシュレスでできる。2002年4月に本格サービスを開始し、コンビニエンスストア「am/pm」全店舗や、コーヒーショップ「プロント」など、コンビニや飲食店を中心に加盟店舗を伸ばしてきた。

 従来、エディの機能はICカードにしか搭載していなかったが、今月から提供が始まるフェリカ技術搭載のNTTドコモ製携帯電話4モデルにエディ機能が搭載されることが決定。これにより、「エディの普及が一気に加速する」(宮沢和正・執行役員企画部統括部長兼業務部統括部長)と期待しており、来年3月までに発行枚数が1000万枚を超えると予想する。

 これに併せて営業担当者を拡充し、利用できる店舗数も3万2000店舗まで引き上げる考えだ。また、NTTドコモ以外のキャリア(通信事業者)への対応にも意欲を示しており、「具体的な話にはなっていないが、他のキャリアとも話は進めている」(宮沢執行役員)状況だ。

 宮沢執行役員は、「生活インフラとして定着した携帯電話にエディが搭載されることで、知名度が上がるとともに、残高閲覧機能や携帯電話からの直接入金など、カード以上の利便性も付加できる。普及を一気に加速させる強力なエンジンとなる」と、携帯電話での普及メリットを強調する。同社のアンケート調査によると、ICカードでは入金の煩わしさと残高確認ができないことがエディを利用しない理由の上位に入っており、普及の足かせになっていたという。

 ビットワレットのビジネスモデルは、①エディの入金・支払い端末のレンタル料、②各加盟企業からエディの決済金額に応じて利益の一部を回収──の2つが収益源。だが、先行投資がかさみ、設立以来赤字が続いている。06年度(07年3月期)には発行枚数3000万枚を見込んでおり、「3000万枚を突破すれば加盟店舗も比例して増え、同年度に黒字化を達成する」(宮沢執行役員)と見ている。

 ビットワレットは、ソニーファイナンスインターナショナルやNTTドコモなど計11社が共同出資し、01年1月に設立した。エディを用いたサービスは、ソニーファイナンスインターナショナルなどソニーグループが中心となり、ビットワレット設立以前の99年から実証実験を進めていた。
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