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マイクロソフト オフィス2003販売加速 前年度比5倍の実導入数目指す

2004/07/12 21:03

週刊BCN 2004年07月12日vol.1047掲載

 マイクロソフト(マイケル・ローディング社長)は、「オフィス2003」を中核にしたオフィスシステムの実導入数が、前バージョンの「オフィスXP」に比べおよそ2倍の速度で進んでいることを明らかにした。今年度(2005年6月期)のオフィスシステムの実導入数は前年度比で3-5倍に拡大する見込みで、企業ユーザーに向けたオフィスシステムの普及が急速に進んでいる。オフィスシステムを本格的なフロントエンドソリューションに位置づける販売パートナーが増えるなど、売り方そのものも大きく変化している。

 マイクロソフトはオフィスシステムを従来のワープロ・表計算といった“電子文具”的な売り方とは異なり、基幹系システムとの連携や情報漏えい防止など、総合的なフロントエンドソリューションとして打ち出した。システムインテグレータなどの販売パートナーやユーザー企業が“電子文具の更新”という位置づけではなく、フロントエンドの操作性や生産性を高めるソリューションとして高く評価したことが、前バージョンに比べて導入が進んでいる理由だ。

 マイクロソフトの高橋克之・ビジネスプロダクティビティソリューション本部本部長は、「基幹系システムと統合され、かつセキュリティが高いフロントエンドシステムを求めるユーザー企業の動きに、パートナー各社は敏感に反応している」と、これまでライセンス販売が中心だったオフィス製品の位置づけが、提案型のソリューションへと変化していると話す。

 ここにきて、顧客情報などの情報漏えいが深刻な社会問題となるなか、最新のセキュリティ技術を実装したフロントエンドシステムを導入することで、内部からの情報漏えいを防ぎたいとするニーズが大幅に拡大。オフィスシステムは本来、ホワイトカラーの生産性を高め、企業価値を高めることに主眼を置いているものの、「内部からの情報漏えいを起こさないことが、広い意味で企業価値を高めることに結びつく」(高橋本部長)と理解され始め、パートナーやユーザーの共通認識として広がった。

 マイクロソフトでは、オフィスシステムを操作性が良いリッチクライアントとして機能させ、基幹系システムとの連携を急ぐ。フロントエンドシステムはウェブアプリケーションへと移行するかに見えたものの、「オフィスシステムを用いて操作性を大幅に向上させたリッチクライアントがユーザー企業から見直されている」(同)と、すべてがウェブに移行せず、オフィスシステムを活用したリッチクライアントの操作環境が受け入れられつつあると分析する。

 今後は、パートナー企業による先進的なオフィスシステムの構築事例を集め、マイクロソフトとの共同プロモーションの場で活用するなど、パートナー企業に向けたマーケティング支援に力を入れる。
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