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富士通 セキュリティで付加価値高める 企業向けPCの単価堅持に尽力

2004/07/12 21:03

週刊BCN 2004年07月12日vol.1047掲載

 富士通(黒川博昭社長)は、企業向けパソコンの高付加価値化に力を入れる。外資系パソコンベンダーが、Linuxなどのオープンソースソフトを企業向けパソコンに採用するなど、価格訴求力で差別化を強めようとするのに対し、富士通では「単価を維持して販売台数を増やす」(牧野陽一郎・パーソナルマーケティング統括部クライアントPC推進部長兼PC周辺機推進部長)と、安易な値下げ競争には参加せず、付加価値を高めることで売上増を目指す。

 昨年度(2004年3月期)の富士通の国内パソコン出荷台数は前年度比4%増、金額ベースではほぼ前年並みだった。金額ベースで前年並みに甘んじたのは単価下落が主な原因だった。

 これを受け、富士通では今年5月の新製品から機密情報漏えいを防ぐセキュリティチップの搭載を開始し、これに従来からの生体認証(バイオメトリクス)装置やICカードなどによる個人認証機能を追加するなどして、単価アップに全力を傾けている。

 最近、顧客情報漏えいなどが深刻な社会問題となっていることから、企業のセキュリティ関連に対する投資が活性化。同時に、景気に明るい兆しが見え始めたことから、「今年度のパソコンの更新需要は旺盛」(牧野部長)と手応えを感じている。セキュリティ関連だけでなく、液晶ディスプレイの大型化や周辺機器の充実など、パソコンの付加価値を高めて販売単価を堅持し、金額ベースで前年度比プラスを目指す。

 企業向けノートパソコンで、たとえばセキュリティチップを追加すると、本体価格にプラス2000円、生体認証の指紋センサーを追加するとプラス2万6000円という具合に単価が上がる。「こうした付加価値の積み重ねで、単価アップを実現する」と粘り強い努力を継続する。
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