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NECソフト 官公庁から民需ビジネスへ移行 業種・業態別事業部を再編

2004/07/12 21:03

週刊BCN 2004年07月12日vol.1047掲載

 NECソフト(池原憲二社長)は、ビジネスの軸を需要低下が見込まれる官庁・公共系分野から、民需系やITサービス分野へ順次移行する。官庁・公共系は、市町村合併やe-Japan戦略に関連した需要が今後1、2年で減るため、これら大規模ソフト開発のノウハウを持つ人員を医療系や金融系、流通・サービスなどへ段階的に振り分ける。このため今年度(2005年3月期)に入り、大幅な組織改正を実施した。同社の全体売上高のうち、官庁・公共系が占める割合は昨年度(04年3月期)実績で32.5%。今後1、2年でこの割合が「18%程度まで減る」(安田秀一・経営企画部長)としている。

 NECソフトは今年度に入り、事業拡大や採算性の向上などを目的に、組織改革を実施。それまで業種・業態別に設置していた14事業部を、新設の官庁・公共・医療・金融業系(第一ソリューション領域)、民需系(第二ソリューション領域)、ITサービス系(第三ソリューション領域)の3ソリューション領域に振り分けた。

 各ソリューション領域では、これまで業種・業態別の事業部が個別に採用していたソフト開発手法のうち、共有できる部分を増やし、開発コストを削減。官庁・公共系の担当者が他領域で活躍できるようにする。

 このうち、第一ソリューション領域では、官庁・公共系の需要が低下するとの予測に基づき、この分野に在籍する人員やノウハウの一部を、IT投資が拡大している大規模系の医療や金融、流通・サービスなど民需系へ1、2年後をめどに順次移行させる予定だ。

 同社売上高の3割強を占めていた官庁・公共系は、「市町村合併やe-Japan戦略関連の案件が今後1、2年で急速に減る」(安田経営企画部長)と話す。一方、民需系では、景気回復の兆しが見え始めた流通・サービスや物流などの分野で需要拡大が見込まれる。民需系の中堅・中小企業案件は、任意団体や商工会、工業会など、団体別に束ね、同社が得意とする大規模案件にして一括受注を狙う。

 将来的には、組み込みソフト開発の分野でも、携帯電話を利用した企業向けソリューションなどに官庁・公共系の人員を再配置していく計画だ。

 安田経営企画部長は、「各ソリューション領域には、ソフト開発の納期や品質、進捗などを管理するプロジェクトマネジメントオフィサー(PMO)機能を置き、民需主体のビジネスに移行するためのプロジェクト管理を徹底した」と話す。

 組織改正に伴うすべての人事異動は、今年度(05年3月期)上期中に完了する見込み。下期からは、新組織のもとで民需主体の新戦略を本格稼動させる方針だ。
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