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KCCS アウトソーシング事業を強化 通信以外の一般企業へ売込み拡大

2004/09/06 21:09

週刊BCN 2004年09月06日vol.1054掲載

 京セラコミュニケーションシステム(KCCS、森田直行社長)は、データセンターを活用したアウトソーシング事業を強化する。アウトソーシング事業の売上高で約9割を占める通信事業者や携帯電話用コンテンツプロバイダを顧客とした課金・配信システムの構築・運用ビジネスに加え、これまで手薄だった一般企業向けの営業展開を強化する。携帯電話にキャンペーン情報などを配信するシステムの構築・運用サービスを一般企業に売り込む。通信事業者の課金・配信システム運用サービスを手がけてきた実績を強みに、携帯電話に配信する情報提供システムの運用サービスに焦点を当て、他社との差別化を図る。一般企業向けの案件を増やすことで、今後1年間でデータセンターのサーバー台数を、現在の約2倍にあたる2400-2500台まで引き上げる方針だ。

 KCCSは、データセンターを用いたアウトソーシング事業を1999年9月からスタート。東京都港区と京都市にデータセンターを設置し、現在180社の顧客を獲得している。管理するサーバーは約1200台。

 データセンターを活用したメインビジネスは、通信事業者や携帯電話向けコンテンツ開発企業向けのコンテンツ課金や配信システム構築・運用事業。アウトソーシング事業の売上高の約9割をこの課金・配信システムの構築・運用ビジネスが占めている。その一方で、一般的なアウトソーシング事業である情報システムのホスティングやハウジングサービスの売り上げは1割程度となっている。

 現在、KDDIが配信するすべてのモバイルコンテンツの課金システムをKCCSのデータセンターで請け負っている。川合直樹・ITプラットフォーム事業本部商品企画課責任者によれば、「絶対に止められないシステムの運用を手がけており、ノウハウや経験は他社よりも多く蓄積している。他社がデータセンターを設置していない頃から運用しているので、先行メリットもある」と、携帯電話向けのアウトソーシング事業に自信を見せる。

 だが、携帯電話向けコンテンツ市場について、「(市場は)飽和状態にあり、5万-10万人の会員を獲得するようなヒットサイトを作るコンテンツプロバイダはまれ。今後、パイは広がらないだろう」と、川合企画課責任者は予測する。

 そこで、携帯電話のウェブサイトの脆弱性診断サービスを今秋にも開始するなど、既存顧客へ付加価値サービスを訴求し、単価を上げることでビジネス拡大を図る。

 さらに、これまでアウトソーシング事業の売上高の約1割程度だった一般企業向けを強化し、新たな顧客を開拓していく。

 川合企画課責任者は、「携帯電話に配信するキャンペーン情報や、クーポン券の配布、アンケート調査を実施するメーカーやサービス業者が増えている。短期的にシステムを組んで運用してもらいたいという引き合いが多い」と説明。「不定期に、かつ単発で実施したいという要望が多いだけに、アウトソーシングのニーズは高い」と続ける。

 これまで通信事業者やコンテンツプロバイダに提供してきた携帯電話向け配信システムを手がけきた実績と経験を、メーカーやサービス業者などにも生かすことで、アウトソーシング事業の拡大を図っていく。
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