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米ダブルクリック スパム対策で自社ビジネスを拡大 コンサルティングを無償で提供

2004/09/13 21:09

週刊BCN 2004年09月13日vol.1055掲載

 オンライン広告配信システムの開発を手がける米ダブルクリック(ケビン・ライアンCEO)は、スパムメール対策でビジネスの拡大を図る。まず、米国で事業の基盤を固め世界展開を目指す。顧客企業の広告代理店などと共同で、エンドユーザーが企業からの情報配信を安心して受けるような啓蒙活動や、企業へのコンサルティングサービスを無償で実施している。この一環として、米国本社ではユーザーの情報漏えいを防ぐためのプロジェクトチームを結成しており、、、

 オンライン広告配信システムの開発を手がける米ダブルクリック(ケビン・ライアンCEO)は、スパムメール対策でビジネスの拡大を図る。まず、米国で事業の基盤を固め世界展開を目指す。顧客企業の広告代理店などと共同で、エンドユーザーが企業からの情報配信を安心して受けるような啓蒙活動や、企業へのコンサルティングサービスを無償で実施している。この一環として、米国本社ではユーザーの情報漏えいを防ぐためのプロジェクトチームを結成しており、日本法人でも同様の検討を開始した。

 米ダブルクリックが、オンライン広告配信事業を拡大するために重要になってくるのがスパムメール対策の強化だ。そのため顧客企業の広告代理店やウェブパブリッシャーなどと共同で、企業からエンドユーザーへ送ったメールがスパムメールかどうかのチェックや、エンドユーザーが安心してメールを受け取ることができる環境を作るように無償でコンサルティングを行っている。

 同社が提供する広告配信システム「ダート」は、マイクロソフトが提唱しているスパム対策技術「センダーID」を採用。技術面で個人を特定せずにエンドユーザーに最適な情報を配信できる環境を整えている。ベニー・スミスCPO(最高プライバシー責任者=写真)は、「技術面に加え、当社やISP(インターネットサービスプロバイダ)など、IT業界全体で共通のスパムメール対策を行っていかなければならない」と対策の必要性を訴えている。

 米国では昨年、同社をはじめとしてマイクロソフトやヤフー、広告代理店、ウェブパブリッシャーなどが参加し、スパムメール対策で、さらに強固な対策の構築を検討する場として「反スパムサミット」をニューヨークで開催した。今年7月には、サンフランシスコでも同様のサミットを開いた。現段階では、こうしたサミットで具体的な法制度の整備に向けたアクションまでは漕ぎ着けていないが、「IT業界全体でスパムメールに関する対策を進めていくという点で、有意義な会議だった」と強調する。

 米ダブルクリックでは、オンライン広告配信事業の拡大を図るため、顧客企業が持っているユーザーデータの漏えいを防ぐプロジェクトチームを結成しており、スミスCPOがその責任者となっている。「今後は、米国だけでなく日本や韓国、中国、台湾などアジア地域への啓蒙活動をさらに広げていきたい」意向だ。同社の日本法人でも、個人情報保護の点から顧客企業の信頼感をさらに深めるためのチームを組織化することを検討している。
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