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スウェーデンITCカンファレンス開催 京セラ、11月にも実証試験 西口社長が表明、次世代携帯実用化へ

2004/09/20 21:09

週刊BCN 2004年09月20日vol.1056掲載

 スウェーデンのIT系企業と日本企業の関係強化を目的とした「スウェーデンITC/ワイヤレス・カンファレンス」が9月14日、初めて大阪で開催された。冒頭、基調講演を行った京セラの西口泰夫社長は、同社が開発している次世代モバイル通信システム「iBurst(アイバースト)」のフィールドテストを11月にも日本国内で実施することを表明。第3世代携帯電話の次を見据えた取り組みが動き出していることをあらためて印象付けた。

 同カンファレンスは、スウェーデン大使館主催でこれまで3回開催されている。通信機器大手のエリクソンを抱える同国では、優れた技術を有するスピンオフ・ベンチャー企業が数多く存在しており、日本企業とのコラボレーションなど、新しい関係を構築することが目的。しかし、これまでは東京でのみ開催され、大阪など関西企業との接点は少なかったのが現状。このため、大阪商工会議所と連携し、今回初めて大阪でも開催することになった。

 基調講演は、携帯端末や基地局用機器大手である京セラの西口社長が行った。この中で西口社長は、日本の携帯電話の全人口に対する普及率が2004年8月末時点で69.2%に達し、新規加入者は頭打ちにあるものの、ユーザーの進化により携帯電話に求められる機能も進化し、旺盛な買い替え需要を作り出していると指摘。現在、第2世代から第3世代への移行が進んでいる携帯電話も、高度化するユーザーニーズを満足させ、ユビキタスネットワーク社会を構築する点からは、料金や通信速度などが不十分とした。

 その上で、同社が開発し、すでにオーストラリアのシドニーで運用を始めている次世代モバイル通信システム「アイバースト」の日本でのフィールドテストを年内にも実施する方針を示した。同システムは、電波の有効利用度を高め、低コスト化と高速化の実現を目指すもの。次世代システムについては、他社でも計画が打ち出されているが、下りが最低でも毎秒600キロビットで、ストレスのないストリーミングとVoIP技術を用いた通話といった点で優位性を実証したい考えを示した。

 一方、カンファレンスには、5社のスウェーデンIT企業が参加。オープンソース・データベースのMySQL社は、コストパフォーマンスの良さを武器に、今後半年間で日本におけるパートナーの強化を進める方針を明らかにした。また、ネットワーク系セキュリティのインターピーク社は、モバイル端末メーカーとの連携を深めたい考えを示した。このほか、画像処理により顔つきの似た有名人を探し出すことができるソフト技術を有するソフトハウス社も、日本の携帯向けコンテンツ企業や放送・雑誌などとのパートナーシップを目指す考えを明らかにした。いずれも日本市場に意欲的な姿勢を示した。
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