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日本ユニシス バリューチェーン事業好調、売り上げ2割増100億円へ 既存顧客の潜在需要を引き出す

2004/09/27 21:09

週刊BCN 2004年09月27日vol.1057掲載

 日本ユニシス(島田精一社長)は、今年度(2005年3月期)、CRM(顧客情報管理)などバリューチェーン関連事業の売上高が前年度比およそ2割増の100億円に達する見通しを明らかにした。同社では商品開発から販売、顧客管理まで企業活動全体の情報システムをチェーン(連携)させる仕組みを「バリューチェーンビジネス」と位置づけ、事業の拡大に力を入れている。財務会計や人事給与など既存ERP(統合基幹業務システム)の需要が一巡するなか、新たな情報化投資を引き出す戦略的な意味合いも強い。

 バリューチェーンビジネスの売上高構成比は、CRM関連が約4割、SCM(サプライチェーン管理)が約3割、EAI(企業内アプリケーション統合)およびEIP(企業内ポータル)が約3割を占める。顧客企業がすでに導入している既存の情報システムをEAIで有機的に連携させ、さらにSCMやCRMを使って顧客企業の事業拡大に貢献するのがバリューチェーンビジネスの基本と位置づける。

 一方、バリューチェーンビジネスは、すでに財務会計や人事給与などのERPを納入した顧客企業に対して、さらにレベルの高い提案を展開するのに役立っている。ERP需要が一巡するなか、これまで投資した情報システムを置き換えるのではなく、CRMなど新しく導入したシステムと効果的な連携を図り、企業活動における「全体最適を図る」(永井匡・エンタープライズソリューション事業部バリューチェーンビジネス部統括部長)ことで顧客企業の事業拡大に結びつける。

 バリューチェーンビジネス関連の販売先のうち、今年度(05年3月期)は既存顧客が約7割を占め、新規顧客は約3割となる見込みで、既存顧客から、より多くの情報化投資を引き出すことに成功している。「企業の情報の流れを最適化させる」(同)ことで既存顧客の潜在需要をうまく引き出した結果だ。企業内に分散している情報資産をEAIなどで統合し、これをCRMで得られる情報と有機的に結びつけ、さらにSCMやERPといったモノやカネを管理するシステムと連携させる案件が急増しているという。

 バリューチェーンビジネス関連の組織体制は、昨年度(04年3月期)まで別々の部門だったCRMやEAI、SCMなどの各部門を今年4月に統合。「バリューチェーンビジネス部」を戦略部門として新設した。今年7月の組織改編では財務会計や人事給与などERP関連を扱う部門との連携を大幅に強化した。こうした取り組みによりバリューチェーンビジネスの総合的な提案力が高まり、今年度は、前年度比およそ2割増の100億円の売り上げを見込む。

 バリューチェーンビジネスの売上高のうち約4割を占めるCRMで使うパッケージは主にピープルソフトのモジュールを採用している。
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