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東京三菱銀行 生体認証付き多機能キャッシュカード、10月12日から提供開始 認証形態は「手のひらの静脈」

2004/10/04 21:11

週刊BCN 2004年10月04日vol.1058掲載

 これでセキュリティは万全?──東京三菱銀行(畔柳信雄頭取)が、10月12日から提供開始するICカード「スーパーICカード『東京三菱-VISA』」。従来のキャッシュカード機能に加え、クレジットカードと電子マネー「Edy(エディ)」、生体認証による個人確認を加えた多機能カードで、村田隆一・三菱東京フィナンシャル・グループ常務執行役員リテール連結事業本部長兼東京三菱銀行常務取締役リテール部門長は、「安全性確保への対応と、利便性の飛躍的向上に努めたコンシューマ事業での中核製品」と期待を寄せる。提供開始日から、1年間で100万枚の発行を計画している。

 生体認証対応のキャッシュカードおよびATM(現金自動預払機)を提供するのは、日本の金融機関では同社が初めてという。盗難・偽造カードによる被害が拡大、スキミング(データの不正読み取り)事件が発生している今の社会環境だけに、金融機関の初の試みに、その具体的な生体認証の形態や効果は気になるところだ。

 東京三菱銀行では、一般消費者への提供を前に、一足早くその具体的な中身を報道関係者向けに披露した。

 注目の認証形態は、「手のひらの静脈」を選択。「指紋や顔など、さまざまな認証方法があるが、1000人以上のアンケート調査や、実際にいくつかの認証方法を試すなど、色々な検証の結果、一番好評だったのが手のひらだった」と、担当者は理由を説明。アンケートの中には、「(他のお客さんが触れたものに)肌が触れない非接触型を求める顧客が、特に女性に多かった」とか。

 手のひらの静脈による生体認証機器を提供しているのは、現在富士通だけ。認証機器およびATMは、富士通が開発を請け負った。「企画段階から数えれば約1年半かけて開発を進めてきた」(同)という。提供開始の段階で、全国約250か所の有人店舗に設置し、年内までには無人ATM設置店舗も含め全店舗への設置を完了させる計画だ。

 生体認証製品は、個人確認システムの中でも最も高いセキュリティが確保できるといわれる。だが、怪我をした場合の対応や、誤認識の確率が高いことなど、運用面での問題も残されている。今後、発行枚数の伸びとともに、トラブルの有無についても気になるところだ。
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