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韓国の高速無線インターネット 来年2月に事業者3社を決定 KTなど通信4社が競合

2004/10/04 21:11

週刊BCN 2004年10月04日vol.1058掲載

 【ソウル発】韓国情報通信部は今まで論争が絶えなかった次世代インターネットサービスであるWiBroの事業者について、来年2月最終的に3社選定し、2006年から本格的にサービスを始める方針を固めた。これにより、WiBro事業者の選定をめぐる大手通信企業の本格的な競争が始まった。現在、KT、SKテレコム、Ha

naroテレコム、Dacomの4社がWiBro事業化を目指し、自社の優秀性を積極的にアピールしている。

 WiBroは、2.3ギガヘルツ帯を利用し時速60kmで移動中でも最大1Mbpsの速度を出す超高速インターネットサービス。携帯電話は通信速度と高い料金という限界があり、無線LANは移動性に制限があった。WiBroはこれを同時に解決できるサービスとして、3.5世代通信事業とも呼ばれている。韓国政府は経済成長停滞を克服するため、積極的にこの事業を推進している。

 韓国政府は国際標準を狙って、このサービスをWiBroとネーミングした。韓国情報通信政策研究院(KISDI)は、サービス開始後3年で490万人、6年後には930万人の加入者を予測するほど大きな期待を寄せている。

 しかしその一方で、本格的なサービスのための莫大な費用が問題という指摘もある。事業者当たり最低1兆3000億ウォン(約1300億円)の設備投資が必要とみられ、このため収益性が落ちると予想する声も聞かれる。しかし、第4世代通信技術を先導する有利な位置を先取りできる、という点は誰もが認めているところだ。

 移動通信加入者市場は飽和状態で、無線LANはまだ本格的に普及していない今の状況から見て、WiBroが唯一の次世代通信サービスと言える。また、政府から周波数を割り当ててもらえる残り少ない許可サービスでもあるので、決して逃がすまいと、大手通信企業はWiBro市場進出に企業の生き残りをかけている。鄭載学(ジョン・ジェハク=BCNソウル特約記者)
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