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NEC PCサーバー好調 今年度受注は前年度比約2割増

2004/11/01 21:15

週刊BCN 2004年11月01日vol.1062掲載

 NEC(金杉明信社長)は、今年度(2005年3月期)国内PCサーバーの受注台数が前年度比約20%増の11万台弱に達する見通しを明らかにした。2000年(Y2K)問題特需の買い替え需要が旺盛だったことなどが後押しした。だが、来年度(06年3月期)以降の需要は一段落し、需要の谷間の期間に差し掛かる可能性も指摘されていることから、セキュリティなどミドルウェア製品の品揃え拡充や販売店向けの支援を強化するなどして拡販に力を入れる。

 Y2K特需の買い替え需要の高まりで、今年度はPCサーバーや法人向けパソコンの受注が好調に推移している。NECでは今年度の国内PCサーバーの受注台数を前年度比約20%増の11万台弱に達する見通しとしている。来年度も「受注ベースで今年度と同等の伸びを目指す」(津田芳明・執行役員常務)一方で、国内市場全体としてみれば、来年度以降、需要は一段落する可能性もあるという。

 市場全体で見れば、来年度後半から法人向けパソコンの需要が落ち着きはじめ、次いで06年度にかけてPCサーバーの需要が「谷間の期間に差し掛かる」(津田常務)可能性があることを懸念している。

 Y2Kの買い替え需要の反動が徐々に始まるものと見られているが、津田常務は「NECにとって(需要の)谷間の期間こそ、逆にシェアを伸ばすチャンス」と捉え、セキュリティなどミドルウェア製品やブレードサーバー、無停止型のftサーバーなど付加価値製品の拡充、販売店向けの支援を強化することでシェア拡大に力を入れる。

 PCサーバー向けのミドルウェアでは、外部からの不正侵入や内部情報漏えいを防止する製品を強化。法人向けパソコンでは「セキュリティPC」と呼ばれるハードディスク内のデータを暗号化し、万一、盗難や置き忘れが発生したときも情報漏えいを防ぐ機能を今年10月の発売分から順次実装を始めた。

 販売店向けの施策では、ITスキル標準に基づいた人材育成の推進や、販売店同士のアライアンスを促進し、顧客企業への提案力を高める施策などに力を入れる。これにより販売店網を含めた総合的な販売力の向上に努める。

 来年度以降、需要の谷間の時期に差し掛かると、限られた市場を巡り、ベンダー間のシェア争いが一層激化するものと見あられる。NECでは、「全国370社の販売店網や充実したサポート拠点など、国内ベンダーの強みである“総合力”をフルに発揮」(津田常務)することで引き続きシェア拡大を目指す。
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