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IPA 債務保証事業を拡充 1件の限度額を3倍に

2004/11/01 21:15

週刊BCN 2004年11月01日vol.1062掲載

 情報処理推進機構(IPA、藤原武平太理事長)は、中小ソフト開発会社向け債務保証事業を拡充する。IPAの債務保証残高は減少傾向が続いており「債務保証のニーズを正確に反映していない」という指摘が一部にあった。これを受けて保証残高を増やすことも視野に入れて、積極的に債務保証ニーズへの対応を進めていく。

 IPAの保証残高は1994年度(94年4月-95年3月)は約85億円あったが、減少傾向が続き、04年度上半期(04年4-9月)の保証残高は約19億円まで減った。

 IPAの原田博文・金融推進部部長は、「ソフトウェア開発事業者などからソフト開発や人材育成などに関する債務保証のニーズは依然として強い」と分析しており、保証残高の減少と一致しないと判断。

 今年10月1日付で保証融資の限度額を1件あたりこれまで5000万円までだったのを1億5000万円に拡大。1社あたりの保証融資の残高を1億円から3億円に拡大するなどの措置を実施した。申請手続きも簡素化した。これにより「債務保証を利用しやすくなる」(原田部長)とし、利用促進に向けた制度改善に踏み出した。

 IPAが債務者に代わって弁済する代位弁済額も、94年度の約3億1500万円から03年度は9600万円へと減少傾向にあり、債務保証事業の財務内容は「非常に健全化している」(同)と話す。

 だが一方で、ソフト開発会社は、土地や建物、生産設備など担保となるような資産に乏しく、資金を調達しにくい状況にあることも事実。ニーズの実態を正確に反映した債務保証事業を展開する方針。
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