ニュース

三洋電機、セイコーエプソン 液晶関連半導体 東北エプソンから代替供給

2004/11/22 21:15

週刊BCN 2004年11月22日vol.1065掲載

 三洋電機(桑野幸徳社長)とセイコーエプソン(草間三郎社長)は、新潟県中越地震により操業停止中の三洋電機子会社の新潟三洋電子(新潟県小千谷市)が供給していた液晶駆動用ICなどについて、セイコーエプソン子会社の東北エプソン(山形県酒田市)からの代替供給を開始した。液晶関連半導体については、リスク分散の意味から新潟三洋電子稼動後も供給を継続する見通し。プロセスが似通っている他のMOS(金属酸化膜半導体)型製品についても代替供給が拡大する可能性も出てきた。

 新潟県中越地震で被災した半導体生産子会社の新潟三洋電子は、人的被害はなかったものの、水や電気、ガスなどのインフラの復旧や点検修復などが必要なため、操業再開にまで至っていない。

 三洋電機では、稼動再開までの対応として、新潟三洋電子で生産していたAV(音響・映像)用半導体の一部について、11月8日から東京製作所(群馬県大泉町)のセミコンダクターカンパニーや子会社の岐阜三洋電子(岐阜県安八町)での代替生産を開始している。

 三洋電機とセイコーエプソンは、10月に中小型液晶ディスプレイ事業を新会社の三洋エプソンイメージングデバイスとして統合した。しかし、液晶駆動用ICや電源コントロールICなどは、従来通りそれぞれの母体である三洋グループ、エプソングループから供給を受けていた。

 今回の地震で、旧三洋の生産拠点向けの半導体供給に支障が生じたため、エプソングループの東北エプソンから代替供給することにした。新潟三洋電子の稼動再開後も、リスク分散の意味から調達を継続する見通し。

 一方、今回の措置を機に、両社の半導体事業の連携が強まることも予想される。半導体メーカーでは、機動的な生産体制を確保するため、外部の企業に生産を委託することも多い。委託先は明らかにしていないものの、三洋電機でもこれまで外部委託を行ったことはある。

 MOS型製品では両社のプロセスには大きな違いはなく、相互に融通することは可能。また、デジタル化の進展で、完成品の商品サイクルは短くなっており、必要とされる半導体の生産にもばらつきが生じる可能性もある。液晶ディスプレイについて相互補完を行った両社だけに、半導体生産においても互いの拠点を活用することで、生産効率の向上を目指すことも予想される。
  • 1