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米シービヨンド・テクノロジー システム統合の新製品好調 7期ぶりの黒字化に手応え

2004/11/29 21:15

週刊BCN 2004年11月29日vol.1066掲載

 米シービヨンド・テクノロジー(ジェームス・デミトリアーディス会長)は、2003年5月から出荷を開始したシステム統合新製品の販売が好調であることなどから、7期ぶりに最終黒字化する見通しを明らかにした。今後は、「コンポジットエンタープライズ」と名付けた新しいシステム統合ソリューションを発展させることで持続的な成長を図っていく。

 EAI(エンタープライズアプリケーション統合)の老舗開発ベンダーとして知られる米シービヨンド・テクノロジーは、ITバブルの崩壊で98年度(98年12月期)に赤字転落、さらに01年9月の米同時多発テロなどの影響を受けて、03年度まで6期続けて最終赤字を計上してきた。この間、レガシーマイグレーションにともなうシステム統合需要は確実に高まっていることから、この分野に最大で「全社の必要経費の25%を研究開発に投じる」(デミトリアーディス会長)など、次世代のEAIシステムの開発に向けた積極的な投資を実施してきた。

 03年5月から次世代のEAIシステムである「シービヨンド・インテグレーテッド・コンポジット・アプリケーション・ネットワーク(ICAN)」の出荷を開始(日本では04年5月から出荷開始)するとともに、積極的な提案活動を展開。04年1-9月末までの9か月の連結売上高は、ICANの受注が好調に推移していることから前年同期比で21.6%増の1億1800万ドル(約121億円)に達し、通期では最終黒字化に向けて「手応えを感じている」(同)と業績回復に自信を示している。

 これまでのEAI製品は、メインフレームなどのレガシーシステムとオープンシステムを連携させる“ツール”だった。これに対して、ICANをベースとしてシービヨンドが新しく打ち出した“コンポジットエンタープライズ”のコンセプトでは、企業の情報システムを構築する統合開発環境を整備することに主眼を置いている。

 具体的には、企業活動における「過去のデータ」や、日々入力される「現在のデータ」、将来的な経営戦略で必要とされる「将来に関するデータ」の3つを統合し、「経営戦略に役立てる仕組みがコンポジットエンタープライズ」(同)と話す。システム統合のためのツールから企業経営を支えるプラットフォームへと大きく進化したことを受けて、顧客企業からの反応も上々だという。

 デミトリアーディス会長は、「ERP導入の全盛期には、SAPなどERPベンダーを中心にビジネスが発生した。今後は既存のシステムと新規導入したシステムの両方を統合的に活用するコンポジットエンタープライズをベースにしたビジネスが進展する」と、システム統合需要の拡大に自信を示す。

 ユーザー企業のなかで、他社との差別化が求められる分野は個別にカスタマイズした情報システムを導入し、そうでない分野では割安なパッケージソフトを活用する。この両方を統合するプラットフォームとしてICANを売り込む。

 また、ICANの導入により、システム統合に伴うソフト開発の工数が大幅に削減され、手作りで統合作業を行う場合に比べて最大で10分の1程度にコストを削減できるという。
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