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キヤノンシステムソリューションズ 中国に第2の開発拠点 現地パートナーと合わせ SE300人体制に

2004/12/20 21:17

週刊BCN 2004年12月20日vol.1069掲載

 キヤノンシステムソリューションズ(浅田和則社長)は、近く中国に第2の開発拠点を設置する。ソフト開発案件の採算性悪化に対応すると同時に、日系企業、現地法人をターゲットにしたビジネス拡大を図る。同社は、中国・上海市にソフト開発会社の佳能控制系統(上海)有限公司を置いている。新しい開発拠点は佳能控制系統(上海)の開発センターとして位置づける方針。立地は上海─杭州の近辺を予定しており、6月にも事業開始する計画で今後詳細を詰める。中国におけるソフト開発能力の拡大で、一層の開発コスト削減を図る。

 キヤノンシステムソリューションズは、2003年1月にそれまでの住友金属工業傘下の住友金属システムソリューションズをキヤノン販売が買収し傘下に入った。これまでキヤノン販売で手薄だったシステムインテグレーションなどITサービスの役割を担う。大手ITベンダーが受注したソフト開発案件の下請けも行っているが、「採算面で非常に厳しくなっている」(浅田社長)とし、中国・上海の現有拠点に加えて新たな開発拠点を設けることにした。新拠点は当初20人程度でスタートし、主にプログラミングなどソフト開発の下流工程を担当させる。

 上海への日本企業進出が相次ぎ、ソフト開発分野でもオフショア開発が拡大していることで、ソフト開発エンジニアの労働コストが急騰しているといわれる。このため第2の開発拠点は、上海と杭州の中間地点を想定し、労働コストの高騰を避ける考えだ。

 現在、佳能控制系統(上海)には約90人のシステムエンジニア(SE)がいる。開発センターの稼動で、上海からも人員の一部を移す。既存の上海拠点の人員は約80人とし、開発センターは70人程度まで増員を図る。この150人の開発要員に加えて、現地のビジネスパートナーの開発要員を合わせて300人以上の体制を築く計画だ。

 中国での開発能力を増やすのは、下請け案件でのコスト削減と中国に進出した日系企業からの受注を図るため。このため、日本語を話すことができるブリッジSEの育成も図っていく。開発体制の強化により、「キヤノンシステムソリューションズがプライム(主契約者)となり、キヤノンブランドを生かすシステムインテグレーション事業を拡大する」(浅田社長)考え。
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