【ソウル発】韓国では市場開放による海外資本の流入の結果、外資系企業の攻撃的なM&A(企業の合併・買収)により大手企業の経営権が脅かされる事態になっている。

 その代表格であるSKの株を三星電子が1000億ウォン(約100億円)分買い取った。これは全持ち分の1.4%にあたる。三星電子側は単純な投資に過ぎないと主張しているが、追加で1500億ウォンを投入しSKの株を買ってもいいと述べたため、海外資本と韓国資本の対決にように報道され始めた。

 SKは韓国最大の移動体通信キャリア「SKテレコム」の親会社。SKテレコムは市場シェアの半分以上を握っており、三星電子の携帯電話機を最も調達している。このため、三星電子以外の携帯電話機関連企業がSKの株を買い、SKの友好勢力として名乗りを上げている。SKも議決権が制限される孫会社の持ち分を友好勢力となってくれる財閥へ有利な条件で売却し、経営権を守ろうとしている。

 一方、三星は李健煕会長の夫人の弟である洪錫(ホン・ソクヒョン)中央日報会長が駐米大使に内定し、その影響力がますます拡大されるだろうと言われている。三星グループの昨年の輸出総額は韓国全輸出額の20%にあたる500億ドルにのぼる。64もの系列会社の売り上げは政府予算より多い140兆ウォン規模になる見込みだ。三星グループから独立し親族が経営するハンソル、CJ、新世界、世韓なども韓国の企業ランキング30位内に入るほど実力のある財閥へ成長した。

 陳大濟・情報通信部長官も三星電子社長から抜擢された。洪会長も三星コーニングの副社長から中央日報へ移ったため、彼を駐米大使にしたのは三星が築いた米国財界や政界人脈をフルに活用するためではないかとマスコミは報じている。三星は韓国財界のリーダーであり、国そのものを動かせる力を持っていると評価されながら、他の財閥とは違い企業好感度も高く、最も就職したい企業にも毎年1位に選ばれている。

 このような三星の登場によりSKの味方が増え、今年3月の株主総会で経営権を無事守れるだろうと予測されている。三星がこれからも韓国財閥の経営権防衛に乗り出すかどうか、世界中から注目されている。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)