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NECトータルインテグレーションサービス 脱ハードウェアを加速 自社開発のCGAAが急伸

2005/01/17 21:28

週刊BCN 2005年01月17日vol.1072掲載

 NECトータルインテグレーションサービス(NTIS、西川喜勝社長)は、ハードウェア依存からの脱却を加速させている。同社は、今年度(2005年3月期)の売り上げ見込みの1割強に相当する20億円分がハードウェアの販売からソリューションの販売へと切り替わる見通しを明らかにした。自社開発したソリューション基盤「CGAA」が好調に推移しており、これが脱ハードウェアを加速させる原動力となっている。

 NTISは、ハードウェアのみを販売するいわゆる「箱売り」を、収益性が悪いことなどを理由に今年度から取り止めた。箱売り分の売上高は約20億円あり、今期についてはこの約20億円が減収となるはずだった。しかし同社では、減収を食い止めるためにJavaの企業向けシステムのプラットフォーム「J2EE」をベースに独自開発したソリューション基盤「CGAA」の拡販に力を入れた。これが箱売りの減収分をカバーし、今年度の売上高は前年度並みの約170億円を維持できる見通しとなった。

 CGAAは、業務システムの機能別にコンポーネント(部品)化した半パッケージ製品。ゼロから業務システムを開発するより大幅に安価で、早くシステム化できるのが特徴。品質も安定しているという。

 また、完全なパッケージ製品とは異なり、顧客の要望に合わせて柔軟にカスタマイズできるのも引き合いが増えた理由の1つ。今年度受注した顧客を業種・業務別に見ると、製造業の生産管理システムが全体の約9割を占める見込みだ。

 来年度(06年3月期)は、今年度の売上高見込み約170億円に対し、「プラス20億円」(西川社長)を狙い、これをCGAAを中心とした自社ソリューション事業拡大で達成する方針を示す。

 低価格化の影響を受けていたハードウェアの箱売りがなくなったことに加え、主要顧客である製造業がCGAAをベースとした販売管理システムの構築に興味を示すケースが増えていることなどが増収要因として大きいという。

 大手製造業は基幹システムとしてすでにSAPを導入しているケースが多い。また、財務会計や人事給与などについては既製のパッケージを使う傾向が今後も続くが、「生産管理や販売管理などは他社との差別化のためにカスタマイズしたいという要望が強い」(同)と市場動向を分析。来年度以降は、SAPユーザーの生産管理、販売管理システムの刷新需要について、CGAAを武器に積極的に受注獲得していくことを目指す。

 CGAAは、開発したコンポーネント数が500種類に達したことから、来年度上期中に「CGAA部品センター」(仮称)を開設する。グループ会社や協力会社、顧客企業が部品を調達しやすい仕組みを作り、「CGAAのより一層の普及促進を戦略的に進める」(同)考えだ。J2EEをベースとしているため、グローバルに展開する大手企業を中心に引き合いが増えているという。CGAA部品センターのコンポーネントの売上高は、07年度(08年3月期)までの3年間の合計で約10億円を見込む。
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