トレンドマイクロ(エバ・チェン社長兼CEO)は、大企業や中小企業、SOHOといった顧客規模により、5つの区分に組織を再編する。新組織は、ワールドワイドの各拠点すべてに適用し、世界規模で共通戦略を推し進めていく。ウイルス対策とコンテンツセキュリティに対する顧客ニーズが多様化するなかで、プロダクトごとの組織や、各拠点それぞれで戦略を立案する体制では要望を迅速に取り込んでいくことが難しいと判断した。今年4月末までに組織再編を完了させる。

顧客規模に対応し5つの事業部設置

 組織再編は、今年1月1日付でトップに就任したエバ・チェン社長兼CEOが打ち出した新戦略。顧客規模ごとに組織を分けることで、ユーザーやパートナーの要望に迅速に対応できる体制を築き、製品開発やサポート、パートナー支援をさらに効率的に進めていく狙いだ。

 新組織は、(1)超大手企業、(2)大手企業、(3)中堅企業、(4)中小企業、(5)コンシューマ/SOHO──の5つに区分する。これらの区分により5つの事業本部を設置し、それぞれの中にマーケティングや営業、製品企画、開発などの事業部を設ける。従来はサーバー向け、クライアント向け、ゲートウェイ向けなど、製品ごとに組織を区分していた。

 顧客の区分方法は今後詰めるが、従業員数ではなく、パソコンやサーバーの台数、ネットワーク環境などを判断基準とし、独自の区分方法を作成して5つに分ける予定だ。そのうえで、各区分に合った製品企画やマーケティング、サポートプランなどを作成していく。

 販売パートナーに関しては、「新組織で事業展開していくなかで、必要があれば新たなパートナープログラムの作成や既存プログラムの見直しも検討していく」(チェン社長兼CEO)方針だ。

 この5事業本部以外に、新規事業を専門に扱うチームも設置する。同チームではPOS(販売時点管理)システムやATM(現金自動預払機)、携帯電話など、パソコンやサーバー以外の、今後コンピュータウイルスに犯される危険性の高い機器向けの製品開発・販売を担当する。

 組織再編は日本だけではなく、米国や欧州などに点在する世界約30拠点すべてを対象とし、「これまで以上にグローバルで共通した戦略を進めることになる」(チェン社長兼CEO)。従来は、世界の各地域で、その地域ごとに適した販売戦略や製品企画を重視していた。

 チェン社長兼CEOは、「従来の組織が問題だったわけではない。ただ、各拠点の営業担当者らが顧客にヒアリングした結果、ユーザーの要望はネットワーク環境の規模に応じて共通しており、国ごとで変化があったわけではなかった」と説明。「トレンドマイクロの企業規模も大きくなり、ユーザーもグローバルに増えている。顧客のネットワーク環境が充実し、セキュリティ対策が複雑化するなかで、顧客1人ひとりに最適な製品・サービスを提供するには、国境を越えた横ぐしの組織をつくる必要性を感じた」と話す。

 新組織は、コンシューマ/SOHO事業をスティーブ・チャン会長(前社長兼CEO)がトップとして舵を取ることが決まっているなど、すでに一部で再編が始まっている。世界規模ですべての事業区分の再編が完了するのは今年4月末の見込み。

 トレンドマイクロの昨年度(2004年12月期)の業績は、売上高が620億490万円(前年度比29%増)、営業利益が260億7800万円(同72.1%増)と、いずれも過去最高を記録した。チェン社長兼CEOは当面の目標として、「3年後に売上高10億ドル(約1040億円)突破」を掲げている。