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クレオ ミドルウェアビジネスに参入 05年度20億円の売上規模へ

2005/02/28 21:32

週刊BCN 2005年02月28日vol.1078掲載

 クレオ(川畑種恭社長)は、ミドルウェアビジネスに参入する。同社が販売しているパッケージソフトなどを機能別に細分化し、他社とのアライアンスでアプリケーションサービスやASPサービスに力を入れる。1月末に手続きを終えたヤフー(井上雅博社長)との資本・業務提携では、クレオが持っているエンジニアリソースを最大限に活用するほか、両社のコラボレーションによる新しいサービスの創出などを着々と進めている。ミドルウェアのビジネスで来年度(2006年3月期)に20億円の売上規模を目指す。

ヤフーとの連携も着々と進む

 ミドルウェアビジネスでは、ハガキ作成ソフト「筆まめ」や会計システム「CBMS(クレオ・ビジネスマネージャーシリーズ)」など、クレオがこれまで開発してきたパッケージ製品の機能を取り出し、他社とのアライアンスを通じアプリケーションサービスやASPサービスなどを提供していく。

 クレオの04年度(05年3月期)の連結売上高は前年度並みの118億円の見通し。川畑社長は、「パッケージ製品は、完成されたものが売れるという点では魅力がある。しかし、多様化するニーズに対応していくためには、これまで開発してきた製品の機能を切り分けたり組み合わせたりすることで、顧客が求めるソリューションに仕上げるカスタマイズが勝負となる」と判断。売上高を今後伸ばしていくうえで、ミドルウェアビジネスに乗り出すことにした。

 05年度は、ミドルウェアビジネスの売上予想20億円が上乗せされることで、「全体の売り上げも確実に増加する」(川畑社長)見通しだ。

 すでに筆まめでは、住所録機能を携帯電話で活用できるサービスとして、KDDIとの協業により個人向けアプリケーションサービス「EZアプリ(BREW)」を提供している。同サービスでは、「筆まめ」機能の中核となる住所録の技術を応用し、クレオが提供するインターネットサービス「筆まめBBサービス」を通じて、携帯電話機のなかにあるアドレス帳など個人データのバックアップとセキュリティ保護機能を提供する。

 ユーザーは、携帯電話機を紛失した際に遠隔から個人情報の更新や消去などが行える。パソコン上で筆まめを利用していれば、パソコンの住所録データと携帯電話機のアドレス帳との連係も可能になる。

 ソフト開発の分野では、「顧客の低価格要求が厳しく、いかにコストを削減して安い価格で提供できるかにかかってくる」(川畑社長)と、価格競争がさらに激しくなっている状況に対応。低価格下で利益を増やしていくために、「パッケージ製品を開発する際に各機能を容易に切り離せるような作り込みを徹底する。各パッケージの機能を組み合わせれば、新しいサービスを創出することにもつながる」(同)と見ている。

 ヤフーがクレオの発行済み株式の36.9%を取得することを柱とするヤフーとの資本・業務提携でも、クレオの技術ノウハウをヤフーに提供することに加え、両社共同で新サービスの創出に向けた準備を進めている。具体的なサービス内容は今後詰めるが、ヤフーのポータルサイトと筆まめの住所録機能、会計システム機能、電子会議、携帯電話などを切り口にプロジェクトを組むことを検討しており、今春にも第1弾のサービスを開始する計画だ。
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