ケイ・オプティコムにとって中小企業向けの光IP電話普及を進めることは、通信事業者が回線数拡大を狙うだけにはとどまらない。自治体や大企業などの法人上位層には、大手ITベンダーが食い込んでおり、付加価値を高め、収益を増やすソリューションなどのサービス部分は、これら大手ITベンダーが握るという構図だ。

 ケイ・オプティコムにとっては、大手ITベンダーのパートナーとしての位置づけで、回線を提供するだけの事態も生じかねない。新たな収益源を確保する意味からは、近畿圏では圧倒的に多い中小企業を囲いこんでいく必要がある。

 中小企業の場合、回線自体は多くなく、導入時にまとまった収益が上がるわけではない。しかし、通話料という安定収入があるほか、自社開発のソリューションなどをパッケージで提供することにより、付加価値を高める道筋がつけられる。

 NTTも東西両社が新年度から中小企業向け法人IP電話サービス「ひかり電話ビジネスタイプ」の提供を開始した。同一都道府県内であれば、3分6.3円という料金体系も選択できるようになっているが、ケイ・オプティコムでは価格優位性は維持できるとみている。

 その背景の1つは、相互接続事業者が14あり、無料もしくは割安で通話可能な050番号割当数が1607万番号と日本最多になること。これまでみずからのユーザーだけのクローズド・サークルを維持していたソフトバンクBB(孫正義社長)の「BBフォン」との相互接続を開始し、2005年度末までの時限サービスであるものの、ケイ・オプティコムとソフトバンクBBユーザー間の通話が無料になる。各事業者の主戦場になっている首都圏でなく、近畿圏を基盤にしているからこそ、他の事業者との相互接続を拡大することが可能になっていると考えられる。

 巨象NTTが本格的な市場開拓に乗り出すものの、家庭向けサービスで他地域に比べ健闘しているということも事実で、中小企業向けのシェア25%確保も過大な目標とはいえない。ネット・電話・ソリューションの組み合わせで、ユニークな存在感を示せる会社となる可能性もありそうだ。(山本雅則・大阪駐在)