内田洋行(向井眞一社長)は、ソフトウェア開発の分業化を進める。内田洋行グループには約1000人のソフトウェア技術者がいるが、このうち半数の約半数が、付加価値が低いとされるプログラム開発を一部手がけている。今後2-3年内に、グループ内の技術者は付加価値の高い設計やプロジェクトマネジメントなど上流工程へのシフトを促進する。下流工程は海外でのオフショア開発などを活用する。

 内田洋行では、今年からベトナムのソフト開発会社にプログラムなどの開発を委託するオフショア開発を本格的に始めており、グループ内の技術者が手がけているプログラム開発や保守開発などの下流工程を切り出す作業に着手した。

 同時に国内や中国、インドに発注してきた年間約40億円のソフトウェア開発の外注費のうち約7割を占めるプログラム開発のベトナムへの発注量を増やす。ここ2─3年のうちにプログラム開発の半分程度をベトナムに移行させることでコストを減らす。

 今年7月には、同社主力のERP(統合基幹業務システム)「スーパーカクテル」の新バージョンを投入することから、既存ユーザーのシステムを新バージョンへ移行する作業が多く発生する。「プログラムの移行作業は同じ作業の繰り返しの部分が多く、オフショアに出すことで大幅にコストを削減できる」(内藤祐介・情報システム事業部ソリューションサービス部部長)と、オフショア開発に適した部分を積極的に切り出す。

 スーパーカクテルなどを販売するSI(システムインテグレータ)約80社からなる販売店組織「ユーザック会」のメンバーにも、内田洋行と一体となったベトナムでのオフショア開発の活用を呼びかけることで開発コストを引き下げ、スーパーカクテルの市場競争力を高める。ベトナムの平均的なSE(システムエンジニア)単価は1か月あたり35万円程度と、中国の同約45万円よりも安い。

 グループ内でプログラム開発を手がける技術者のうち、優秀な技術者がソフトウェアの設計から開発、保守まで1人で行う、いわゆる“ひとりエンジニアリング”も含まれている。今後は、プログラム開発や保守開発など下流工程を切り出して、人件費の安い海外へ発注するなど、ソフトウェア開発の分業化に力を入れる。

 小規模なソフト開発案件の領域では「ひとりエンジニアリングの生産性は高い」(同)とするものの、大規模な案件では複数人数での分業化は欠かせない。

 また、1人の技術者が保守開発まで行うと、顧客が増えるたびに保守作業ばかりが累積され、新規の開発ができなくなる問題点も指摘されている。新規案件を受注するために国内の技術者の数を増やせば、さらに人件費がかさむという悪循環に陥る。分業化はこうした悪循環を断ち切る狙いもある。