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大塚商会の中国現法 SIビジネスで華東、華南地区にサテライト展開 日系企業に密着サポート

2005/05/02 21:40

週刊BCN 2005年05月02日vol.1087掲載

【上海発】大塚商会の中国現地法人、欧智貿易(上海)有限公司(オオツカ貿易、上海市、鶴見裕信社長)は、中国でのシステムインテグレーション(SI)ビジネスの拡大に向け、華東地区、華南地区で事業拠点のサテライト展開に乗り出す。現在本拠を構える上海に加え、今夏には華東地区の蘇州、杭州、無錫に、また来年初には華南地区の広州、深、東莞にサテライトオフィスを開設。各地に進出している日系企業向けに、地域密着型のサポートサービスが提供できる体制を築く。同社は一昨年秋に本格営業を開始したばかりだが、すでに昨年度(2004年12月期)の段階で営業黒字を計上しており、今後はサテライト展開によりさらに収益の拡大を狙う。

 欧智貿易の昨年度(04年12月期)の業績は、売上高が2億5000万円、営業利益が500万円だった。同社は03年春に設立され、同年10月から本格営業を開始したが、「当初2年間は赤字を強いられると見ていたが、最初の1年で初期投資も含め黒字化を図ることができた」(鶴見社長)という。

 事実上の初年度で好調な業績を残せたことから、今年度(05年12月期)は売上高3億円、営業利益5000万円を見込み、さらに来年度(06年12月期)は売上高5億円を目指す。当初計画では、本格営業開始から3年後に売上高3億円を掲げていたが、これも今年度で達成できる見通しだ。

 同社は現在、製造業を中心とする日系企業向けにソリューション提案やSI、サポートを行っており、年間保守契約企業として80社のユーザーを抱えている。このほか、CADシステムの保守契約企業として台湾系を中心に10-20社のユーザーがいるが、「現在、ビジネスの中心はSI系で占めている」(同)状況にあり、売上高の8-9割が日系企業からの収入となっている。

 上海には約3000社のシステムインテグレータが存在し、受注競争も激しさを増しているが、欧智貿易では顧客ターゲットを中国に進出している日系企業に定めるとともに、現地に日本人SE(システムエンジニア)を配置することでサポート品質の向上に努めている。「中国に進出している日系企業が、システムをすべて自前でサポートしていくのは非常に難しい。また、中にはシステム部門の人員を派遣できない企業もあり、こうした企業を積極的に開拓し、高品質のサポートを提供していくことで高い評価が得られるようになった」(欧智 貿易の岩宮宏・SI事業部シニアマネージャー)としている。

 こうした実績をもとに、今後は華東地区、華南地区の主要都市にサテライトオフィスを展開し、サービス品質のさらなる向上につなげる。華東地区の蘇州、杭州では7-8月にもオフィスの開設にこぎ着け、常設のサポート人員を配置するとともに、営業機能も備える方針。華東地区での展開に続き、来年早々には華南地区へもサテライトオフィスを構える予定で、広州、深 、東莞などが候補にあがっている。

 欧智貿易の社員数は現在15人。このうち7人が日本人で、営業マネージャー、SEマネージャーなどを務めている。また、SIに必要な部材などの仕入れや工事などは、現地のアウトソーシング会社を積極活用する体制を敷いている。

 一方、本社オフィスは、事業の拡大に伴い今年4月に移転。米インテルなども入居する高層ビル「上海世界貿易商城」(上海市延安西路)にオフィスを移し、フロア面積をこれまでの約2倍に拡張した。
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