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需要期を迎えた「FTサーバー(モデル)」(上)
2005/05/16 21:39
週刊BCN 2005年05月16日vol.1088掲載
値頃感から中堅・中小へ裾野拡大
これまでFTサーバー(モデル)は、大企業のメインフレームの代替需要などでの採用が大多数だった。しかし、ここにきて中堅・中小企業でも、基幹サーバーのほか、ファイルサーバーやメールサーバーなどで、「停止しない」ニーズが高まり、低価格帯のFTサーバー(モデル)を待ち望む声が高まっていた。従来、中堅・中小企業の「停止しない」ニーズに対して、システムインテグレータなど販売会社は、クラスタシステムの構築をユーザー企業に勧めてきた。だが、クラスタシステムはコストが高く、中堅・中小企業には手を出しにくい価格帯だった。さらに、IAサーバーとクラスタを組み合わせた場合、構築・運用に専門知識が必要で、サーバーに障害が発生した時に代替サーバーが処理やデータを引き継ぐ「フェイルオーバー」に時間がかかる──などの問題もあった。
FTサーバー(モデル)は、故障発生時の切り離し処理を瞬時にできるため、フェイルオーバー中に処理が停止し、エラーが発生しない。メンテナンス面でも、従来は専任者が必要だったが、富士通、NEC製品ともに、通常のIAサーバー並みの運用が可能で、中堅・中小企業にとってハードルが低くなった。
富士通とNEC、ストラタスのFTサーバー(モデル)は、富士通が「ソフトウェア方式」、NECとストラタスが「ハードウェア方式」と呼ばれ、一長一短はあるが、運用上の差異は少ない。
FTモデルの市場動向について、富士通の新谷智康・パートナービジネス本部販売推進統括部担当部長は、「病院やホテルなど、想定した以上に多業種で引き合いがある。クラスタシステムに手が届かないユーザー企業で導入が進む」と、ここ1、2年の国内FTモデル市場を2500台と想定、「その半分を当社で獲得したい」(同)という。
一方、NECの本永実・クライアント・サーバ販売推進本部商品マーケティンググループマネージャーは、「オフコンの置き換え商談が多い。ボリュームで販売できる業種・業態に強いシステムインテグレータと組み、拡販していく」と、市場の拡大を見込んでいる。
次号ではFTサーバー(モデル)への期待値について、両社のほか業務ソフトベンダーなどに聞いていく。
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