フォルトトレラント(FT=無停止システム)サーバー(富士通の呼称は「FTモデル」)の需要が中堅・中小企業(SMB)市場で拡大しそうだ。きっかけは昨年12月に富士通が出荷を始めた130万円台のFTモデル。これによって2年前にNECとストラタスが発売した170万円台のFTサーバーの対抗勢力が登場したわけで、FT市場の開拓合戦が活発化してきた。富士通とNECは、「当初想定した以上にサーバーの無停止を求める幅広い業種・業態で導入が進みそうだ」と、FTサーバー(モデル)の裾野拡大に期待する。ユーザー企業にとって“値頃感”が出てきたことや専任者を置かずに管理できるメンテナンスの容易さなどで、販売会社にも注目され始めた。

値頃感から中堅・中小へ裾野拡大

 これまでFTサーバー(モデル)は、大企業のメインフレームの代替需要などでの採用が大多数だった。しかし、ここにきて中堅・中小企業でも、基幹サーバーのほか、ファイルサーバーやメールサーバーなどで、「停止しない」ニーズが高まり、低価格帯のFTサーバー(モデル)を待ち望む声が高まっていた。

 従来、中堅・中小企業の「停止しない」ニーズに対して、システムインテグレータなど販売会社は、クラスタシステムの構築をユーザー企業に勧めてきた。だが、クラスタシステムはコストが高く、中堅・中小企業には手を出しにくい価格帯だった。さらに、IAサーバーとクラスタを組み合わせた場合、構築・運用に専門知識が必要で、サーバーに障害が発生した時に代替サーバーが処理やデータを引き継ぐ「フェイルオーバー」に時間がかかる──などの問題もあった。

 FTサーバー(モデル)は、故障発生時の切り離し処理を瞬時にできるため、フェイルオーバー中に処理が停止し、エラーが発生しない。メンテナンス面でも、従来は専任者が必要だったが、富士通、NEC製品ともに、通常のIAサーバー並みの運用が可能で、中堅・中小企業にとってハードルが低くなった。

 富士通とNEC、ストラタスのFTサーバー(モデル)は、富士通が「ソフトウェア方式」、NECとストラタスが「ハードウェア方式」と呼ばれ、一長一短はあるが、運用上の差異は少ない。

 FTモデルの市場動向について、富士通の新谷智康・パートナービジネス本部販売推進統括部担当部長は、「病院やホテルなど、想定した以上に多業種で引き合いがある。クラスタシステムに手が届かないユーザー企業で導入が進む」と、ここ1、2年の国内FTモデル市場を2500台と想定、「その半分を当社で獲得したい」(同)という。

 一方、NECの本永実・クライアント・サーバ販売推進本部商品マーケティンググループマネージャーは、「オフコンの置き換え商談が多い。ボリュームで販売できる業種・業態に強いシステムインテグレータと組み、拡販していく」と、市場の拡大を見込んでいる。

 次号ではFTサーバー(モデル)への期待値について、両社のほか業務ソフトベンダーなどに聞いていく。