ブロードバンド通信システム開発のAOSテクノロジーズ(佐々木隆仁社長)は、独自に開発した映像圧縮技術を駆使し、遠隔監視やモバイル端末を活用した映像コミュニケーション事業を本格的に立ち上げる。同社は2000年頃から総額で30億円規模の投資を機関投資家などから受けて製品開発を行っており、「開発が一通り完了した」(佐々木社長)ことから拡販に向けた販売チャネルの整備を本格的に始める。

 AOSテクノロジーズは、ブロードバンド回線を使った映像コミュニケーション事業で、「リスク管理」と「生産性向上」の分野に軸足を置く考え。リスク管理では、映像を使った遠隔監視による防犯を中心に位置づける。生産性を高める分野では、工場などの作業現場への指示書や施設管理にともなう保守点検作業への指示書などを映像や画像を交えてやり取りする情報システムに応用する。

 また、リスク管理の分野で、「治安の悪化が統計的にも一般市民の体感的にも顕著になってきている」(佐々木社長)ことから、民間企業や自治体、学校、一般家庭など幅広い市場でブロードバンドを使った遠隔監視システムの需要が高まっていると予測。同社では映像圧縮技術の開発だけでなく、映像を写すウェブカメラの開発でもOEM(相手先ブランドによる生産)を含めて「全世界で5位に入るシェア」(同)を確保する出荷実績があり、これをてこに事業拡大を図る。

 ウェブカメラやデジタルビデオレコーダー、映像圧縮技術などの要素を組み合わせることで、従来のアナログ式の監視システムでは実現できなかったユニークなブロードバンドセキュリティシステムを展開する。例えば、携帯電話やノートパソコンを使って場所や時間の制約を受けずに監視できるシステムを構築したり、異常を発見したら現場の警報装置を作動させるなど具体的なアクションが起こせるようにするなど、インターネットの双方向性を生かした仕組みを提案する。

 こうした仕組みを応用することで、保守作業を担当する現場の作業員へ映像を交えて指示を出したり、現場の状況を写した映像を本部へ報告したりするシステムの開発も可能になるという。流通小売業では全国の店舗の状況を写した映像を本部がリアルタイムで視聴し、マーケティングに生かすこともできる。AOSテクノロジーズが開発した開発基盤を使えば、映像を駆使したブロードバンド通信システムを「従来の数分の1から10分の1程度の工数」(同)で構築でき、販売を担当したシステムインテグレータ(SI)は本業の業務アプリケーション分野に専念できる利点がある。

 同社は、機関投資家などから集めた資金約30億円をベースとして技術開発に取り組んできた。昨年度(05年3月期)は研究開発が中心だったため単体ベースの売上高は約6億円だったが、今後はブロードバンドを駆使した映像通信ビジネスを積極的に展開し、2010年までにグループ全体の売上規模を100億円、経常利益率を40%に拡大する計画を立てている。