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アイコム 中小規模向けに無線IP電話を拡販 売上高12億円目指す

2005/06/20 21:42

週刊BCN 2005年06月20日vol.1093掲載

 無線LANなどに関連する通信機器を製造・販売するアイコム(井上徳造社長)は、新事業領域を拡大するため、常時接続のブロードバンド回線を利用して通話する中小規模オフィス向け「無線IP電話システム」を本格的に拡販する。同社は今年に入り、IP電話機能付き無線LANルータや携帯型のワイヤレスIPフォンなど、自社開発の製品を相次ぎラインアップ。「IP電話市場へ参入できる体制が整った」(小松正樹・WLEグループ係長)ため、今年度(2006年3月期)は、通信キャリアや販売パートナーとしてネットワーク構築を得意とするシステムインテグレータを開拓し、同システムだけで売上高12億円を目指す。

 同社は今年に入り、IP電話の標準プロトコル「SIP」を採用した無線LANルータ「AP-5100VoIP」と「SR-5200VoIP2」のほか、IPフォン「VP-43」などを自社開発して、販売を開始した。

 同社が提供する無線IP電話システムは、多機能で高性能な無線アクセスポイントであるこの無線LANルータなどで構築するため、通常必要となる高価な装置「SIPサーバー」は不要だ。既存のPBX(構内交換機)に同社の無線LANルータを組み合わせることで、低価格なシステムを構築できる。

 このシステムは、無線LANルータ1台につきIPフォン最大18台による通話ができる。常時携帯できるIPフォン「VP-43」であれば、社内(IP電話システム内)のどこからでも内線/外線を問わず通話ができるほか、NTTドコモの携帯電話「FOMA N900iL」を使えば社外で携帯、社内で内線として利用できる。また、同社が開発した無線IPアダプター「SE-50VoIP」にアナログ電話とパソコンを接続することで、音声とパソコンデータを無線伝送することもできる。

 小松係長は、「安価にシステム構築でき、通話料金も大幅に削減できる。NTTの一般電話へも低コストで発信でき、東京と大阪に拠点を置くある法人企業では、拠点間の内線がただになるなどで、当社のシステムにより年間通話料を約50%削減できた」と、低コストで導入でき、運用コストを大幅に削減できると強調する。

 同システムはすでに、パートナーを通じて、工場が点在する製造業など数社に納入実績がある。今後は、通信キャリアや中小規模の企業を対象にネットワーク構築を手がけるシステムインテグレータを開拓して、販売体制を強化する計画だ。
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