富士通フロンテック(宮澤達士社長)は、主力のATM(現金自動預払機)が昨年度(2005年3月期)までに新券対応がほぼ終了したことで生産台数の減少が不可避のため、RFID(無線タグ)やPOS(販売時点管理)端末、ATM運用監視のアウトソーシングなどのビジネス拡大に注力する。さらに、ATMなどに搭載する静脈認証システムの拡販と、小型化した静脈認証システムの開発による新市場開拓を図り、落ち込みをカバーしていく考えだ。

 富士通フロンテックの山村吉美・取締役兼システム製造本部長兼新潟工場長は、「ATMの新券対応がほぼ終了し、昨年度約8000台の生産台数が今年度は半分程度にとどまる見通し」と語る。東京三菱銀行やスルガ銀行などで採用された手のひら静脈認証装置搭載のATMについても、他の銀行などでの採用が急速に進む見込みがなく、また、銀行合併で支店の統廃合が進んでいることから、当面ATMビジネスは低水準で推移する見込みという。

 このため、同社の今年度(06年3月期)第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比32.7%減の161億8500万円にとどまり、営業損益は前年同期の25億7800万円の黒字から5億600万円の赤字に転落した。通期業績見通しでは売上高900億円(前年度比3.4%増)、営業利益32億円(同29.9%減)を予想しているが、ATMビジネスの落ち込みをカバーするために他の事業の拡大が急務となっている。

 POSシステム関連では、PDA(携帯情報端末)タイプのハンディターミナルが流通・小売業向けに好調なほか、今後、RFIDなどのシステム事業も本格化させる。さらに、開発を進めている小型化した手のひら静脈認証システムについても、セキュリティニーズの高まりに応えて早急に商品化を目指すとしている。

 富士通グループは、ATMハードとソフトの一貫体制を構築するため、今年2月1日付で富士通子会社の富士通ターミナルシステムズを富士通フロンテックの子会社とした。これにより、昨年5月から提供開始しているATM運用監視のアウトソーシング事業を含め、開発・製造からソフト、サービスまでの一貫体制を構築した。

 また、4月にはさいたま市(埼玉県)に「大宮ソリューションセンター」を開設し、ATMだけでなく、POSや手のひら静脈認証、RFIDといった先端分野、組込みソフト、ネットワークサービスなど事業分野を広げる体制を整えており、新事業開拓でATM事業の落ち込みをカバーしていく考えだ。

 今後、「06年度からは2000年問題対応システムのリプレース需要が顕在化する。今年度がボトムと見ている」(山村取締役)と、ハードの需要は短期で回復していくと予想している。