ADSL・FTTH(家庭向け光ファイバー網)によるネット接続サービスを手がけるアッカ・ネットワークス(坂田好男社長)は、機器同士をADSL回線などで結びつける「M2M(マシン・ツー・マシン)」事業を立ち上げる。主力の個人向けADSL接続サービス市場が飽和状態を迎えるなか、新しいビジネスの柱としてM2Mなど企業向け通信サービスやFTTHによる接続サービスを増やし、事業の拡大を図る。

 M2M事業は既存のADSL網を使い、オフィス機器や監視カメラ、自動販売機などデバイス機器類を管理するソリューションの通信インフラとして提供する。システムインテグレータ(SI)などソリューション開発ベンダーと協業することで、M2Mを活用したソリューションの開発を急ぐ。これまでは電話回線によるダイヤルアップ接続や、人による巡回などで管理してきたデバイス機器を、常時接続でセキュリティ性の高いM2M用ADSL網を使うことで、より効率的に活用・管理し、コスト削減やデバイス機器の有効活用を促進する。

 ADSL網は、個人向けのADSL接続サービスで使ってきた機器を一部再利用する。個人向けの接続速度は下りで50Mbpsを超える高速化が進んでおり、数年前に使われていた数Mbps程度しか出ないADSL通信機器の一部が使われずに残る状態が続いていた。これを再利用することで追加投資を抑え、「従来の接続料金よりも割安な価格」(中木正司・取締役執行役員チーフ・セキュリティ・オフィサ戦略事業開発部長)で、M2M用のADSLインフラを販売する。M2M用のADSL網はインターネットに接続しない閉じたネットワークにすることで、高いセキュリティ性を実現した。

 企業など事業所向けのADSL接続サービスは2002年頃から開始し、すでに4万回線弱の契約を獲得。個人で契約して実際には業務で使っているケースも含めれば、さらに増えるという。個人向けサービスなどを中心とした同社全体の契約数約130万回線に比べれば少ないものの、伸び率では「企業向けの方が大きい」(同)と手応えを感じる。これに今年度(05年12月期)下期から本格的に立ち上げたM2M事業が加わることで、企業向けの売上増が期待できるという。企業や個人がインターネット接続用として使う回線は高速ADSLやFTTHが主流だが、M2Mでは通信速度よりも安定性やソリューションの内容が重視されるという。

 M2Mの適用例としては、オフィスで使うコピーやファクシミリ、工場で使う生産機器などの保守メンテナンスなどを想定している。これら機器に常時接続のADSL回線を接続すれば、遠隔地からリアルタイムで監視でき、消耗品の交換時期に差しかかったり、故障の兆候が見られた時点で、機械が止まる前に保守サービスを提供できる。無線タグを読み取る機器など、センサー類が捉えた情報をいち早くセンターに伝えるインフラとしてもM2M網は有効だ。

 今後は、M2M用ADSL網をプラットフォームとしたM2Mソリューションの開発に力を入れる。すでに、SIやソフト開発ベンダーなど10数社がM2Mを活用したソリューション開発に賛同しており、順次品揃えを増やす。M2M関連の売上高は来年度(06年12月期)20億円、07年度は75億円を見込む。個人や企業向けのインターネット接続サービスでは、ADSLからFTTHへの移行を促進することで事業拡大を狙う。