【上海発】今年4月に米IBMから買収したパソコン部門の業務を統括したレノボグループ(聯連集団)は、今年度第1四半期の財務報告表を8月10日に発表した(http://www.lenovo.com.cn/about/news/legend4615.shtml)。売上高は196億香港ドルで、前年同期比234%増。粗利益率は1.58%上がり、15.3%になった。現金準備高は59億香港ドル。この発表を受け、レノボの株は即刻5.607%上昇し、買収の際の値下がりから状況が一気に変わった。

 合併が発表された時のレノボがIBMパソコン部門を吸収できるのかとの心配は、現在では消えてしまったようだ。インターナショナルブランド商品のチャネルを作るには、通常数十年かかるだろう。世界の一流企業と合併することで、レノボは国際市場への進出プロセスの短縮を実現し、いち早くコンピュータ・情報技術における国際競争に参与するようになった。今年度第1四半期の数字がそれを反映している。

 レノボとIBMパソコン部門との合併は単なる「横取り」ではなく、win-win協力の結果だろうと、当時あるオブザーバーがコメントしていた。IBMは、2002年の初めにハードディスク事業を日立製作所に売却する一方、03年には14社を買収するなど、ハードウェアメーカーからITサービスプロバイダへの切り替えの意図がはっきり見えており、パソコン製造から離脱するのは予想外ではなかった。ハードウェア製造は利益率が低く、IBMが求めているITサービス戦略に合わなくなっている。一方でレノボにとっては、ノートパソコンがちょうど国際企業市場への切り口だ。この点で両方が協力できると、win-winの良好な効果が生じるに違いない。

 IBMパソコン部門は5年来赤字が続いており、04年上期は1億1390万ドルの赤字だった。しかしこれは、製品の売れ行きが悪かったためではなく、高いR&D(研究・開発費)投入、人件費、仕入れコストなどによるものだった。

 一方ではアウトソーシングを介して(たとえば中国にノートパソコン製造工場を建設するなど)、ある程度のコストダウンも実現していた。当時でも、赤字を挽回する可能性がまったくなかったわけではなく、04年からの世界IT市場の景気の復調を考慮に加えたら、情勢が好転する可能性も大きかった。あらゆる意味で、IBMのパソコン事業は間違いなく「乳牛」(中国の言い回しで「利益を産むもの」)だった。

 しかしIBMは、オンデマンドコンピューティングづくりのために、やはりパソコン業務から離れなければならなかった。宿敵のヒューレット・パッカード(HP)、デルを身売り先にせずレノボをパートナーにした理由は、①ライバルをさらに強力にすることを避けた、②株主として収益を得られること、③中国政府の「ご機嫌」を取って成長中のITサービス市場に成功のタネを埋めておくこと──が考えられる。

 統合戦略の有効性は、ニューレノボのサプライチェーンの実践によって証明された。安い値段で良い品物を顧客に届けることがレノボの歩んできた成功の道だ。中国では人件費が低い一方、SCM(サプライチェーンマネジメント)もレノボの得意技だ。管理部門、サプライチェーンからのマージ、ブランド戦略、IBM元顧客へのコミットメントなどの管理手法は利潤に大きな貢献をしたと思う。

 最後に、“運気”を認めざるを得ない。05年度第2四半期のパソコン出荷量は予想より上がったという。特に、海外新規市場(インド、ロシアなど)での成功、低価格戦略の成功によって、HP、デルの進攻を防御しながら、中小メーカーからマーケットシェアを奪うことができた。

 第1四半期の黒字は、レノボにとって特別な意味を持っている。レノボ中国とレノボインターナショナルがそれぞれ独立して運営されている現在、合併は始まったばかりで、コラボレーション効果はまだ十分には発揮されていない。スタートで黒字になったことは、市場、企業そして従業員の自信につながる。企業買収を通じて海外進出を狙っている一部の中国企業にとっては、レノボのケースから学ぶことも少なくないだろう。
魏鋒(ウェイ・フェン=ACCS上海事務所担当、shanghai@accsjp.or.jp)