中国の国家発展・改革委員会(国家発改委)は今年2月、6年間続けてきた携帯電話の生産ライセンス制を廃止。「WTO加盟国として新たな政策が必要になった」として、国家発改委の認可を得るだけで生産が可能になる認可制度へ移行した。その後、9月末で合計20社が認可を受けているが、抜本的な解決には至っていないという声もある。

 中国における携帯電話の加入件数は、2005年8月末時点で3億7277万6000件。これは前年同期比18.3%の増加で、99年9月からの6年間で10倍にもなっている。

 しかし、中国大陸の携帯電話在庫数は2000万台を超えるともいわれており、深刻な供給過多状況が続くことで、携帯電話機メーカーの経営および市場の健全性を脅かすものとして問題視されている。

 中国が「移動体通信システムおよび端末への投資認可に関する規定」を公布して生産認可制に移行したのにはこういった背景があり、生産メーカーを制限することで生産台数のコントロールを国が強力に進めようという思惑があった。

 生産認可を得るためには、電子情報製品の研究・開発、生産、販売に従事している企業で、3年以上の経営経験を持つことが条件。また、一定以上の経済力があり、アフターサービス体制を確立できること、この分野の業務での資本金が3億元以上あることなどが必要になる。条件を高めに設定することで、競争激化による価格低下を食い止めることが目的だ。

 そのため、第1陣で認可されたのは華為技術、海信集団(ハイセンス)など業界でもトップクラスにある企業だった。第2陣に入ったのは、英華達(インベンテック)、BenQ(明基電通)、創維(スカイワース)等。第3陣には、UTスターコム、天津サムスンなどが入り込んだ。

 新認可制度の公布により、認可申請を行ったメーカーは約40社とも言われる。ここで注目されるのは、携帯電話メーカー以外の業種の参入が相次いだことだ。大手パソコンメーカーの長城計算機と、スキャナを主力製品とする清華紫光申請を行ったことで、当局の思惑とは裏腹に、かえって市場競争が激化するとの見方も出た。

 そこで、新制度発表から3か月で13社が認可された8月、発改委は審査基準を引き上げると発表した。背景には、中国の携帯電話生産能力が年間4億台を超えているのに対し、年間の新規携帯電話加入件数は6000万件となっていることがある。供給能力が需要の7倍という状況を「著しいアンバランス」とし、国家発改委は何度も投資リスクの警告を発している。

 警告の内容も、第1陣発表時は「投資リスクを十分に認識すべき」だったが、第2陣発表時は「供給過多と生産能力の増大で投資リスクは日に日に増している」と変化。第3陣発表にいたっては、これまでのように公式サイトで企業名を公表することもしなかった。

 第4陣の発表にあたって発改委は、携帯電話端末が供給過多状況にあることや生産認可企業の生産能力が増強されていることなどを挙げ、「携帯電話市場は投資リスクが日に日に増大しており、多くの企業が赤字を計上している」と強調。「市場の動向を見きわめて慎重に投資を行いながら、研究開発能力を高めて品質、技術レベルの向上を図るように」とし、前回の発表時より強い語気でやみくもな投資行為に注意を促した。

 実際、情報通信業界では収益率の低下が深刻化しており、携帯電話メーカーも例外ではない。例えば寧波波導は05年1-6月期で1億700万元の赤字を計上。業界の内部関係者は、「赤字になることは分かっていたが、これほどひどくなるとは思っていなかった」ともらしている。

 市場ではニセモノやバッタ物の流通がはびこっていることもあり、メーカーが今後も困難な状態に置かれることは変わりない。(サーチナ・齋藤浩一)