システム・テクノロジー・アイ(松岡秀紀社長)は、主力のeラーニングシステムの販売ターゲットを金融や公共分野などIT以外の領域へ拡大させる。これまではITエンジニアのスキルアップがメインだったが、IT以外の学習コンテンツを増やすことで新規領域の開拓に力を入れる。異なる業務アプリケーションを結びつけるSOA(サービス指向アーキテクチャ)技術を活用して、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)製品へのOEM供給にも力を入れる。

 ITエンジニアのスキルアップを中心に事業を伸ばしてきた同社だが、今後は金融や公共分野など高度で専門的な業種ノウハウやスキルが求められる業種向けに販売を加速させる。現在、主力のeラーニング基盤「iStudy(アイスタディ)シリーズ」の学習コンテンツは約500タイトルあるが、来年度(2007年6月期)までに約2倍の1000タイトルに増やす。現在の約500タイトルのうちIT関連のタイトルは約8割を占めているが、IT以外のコンテンツを拡充させることで、他業種の市場開拓を進める。

 システムインテグレータ(SI)などのシステム構築案件における赤字プロジェクト発生の大きな原因として、プロジェクトマネージャやエンジニアのスキル不足が指摘されており、システム・テクノロジー・アイではこうしたIT業界が抱える問題を解決する方策としてeラーニングシステムを開発してきた。

 だが、赤字プロジェクトの発生でSIの収益が悪化し、これに伴って教育投資も削減されるなどの「悪循環」(松岡社長)が断ち切れておらず、昨年度(05年6月期)は苦戦を強いられた。今年度(06年6月期)はIT業界だけでなく異業種への販売に力を入れることで収益の拡大を目指す。

 今年8月に販売を始めたeラーニング基盤の最新版「iStudy Enterprise Server Ver2.0」は、異なる業務アプリケーションを結びつけるSOA技術に対応していることから、他社の業務アプリケーションとSOA方式での連携を強化する。すでにソフト開発のアイテックス(林孝男社長)が開発した人事管理システムとSOAベースで連携しており、今年度中にはSOAによる連携先が数社程度に増える見通しだ。特定の業種に強いISVの製品との連携を強化することで異業種への展開に弾みをつける考え。

 今後、“団塊の世代”が続々と定年を迎えることにより、企業や組織内に蓄積してきたノウハウや技術が失われる「2007年問題」が迫っており、業種を問わず若い世代へ知識や技術を円滑に引き継がせる仕組みづくりに対する「需要は高まっている」(同)とし、その方法の1つとしてeラーニングが脚光を浴びている。iStudy最新版では、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)のハイエンドUNIXサーバー「pシリーズ」に対応し、ライセンス体系に従来のユーザー単位ではなくCPU単位で課金する選択肢を設けることで割安感を打ち出した。これにより大手企業での採用も進むと見ている。

 今後は必要なコンテンツの箇所をサービスとして切り出して、ユーザーが自由に選択できる幅を広げることを検討している。現在は独立したコンテンツを1本ずつ販売する形態だが、将来的にはユーザーが必要な時に必要なコンテンツだけを切り出すオンデマンド方式での流通形態を実現する方針。