日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(JPSA、淺田隆治会長=ウッドランド会長)は、中小のITベンチャーを資金面で支援する「ガンバレIT!融資制度」を創設、今月から申し込み受付を開始した。JPSAの正会員、準会員を対象に、独立行政法人の情報処理推進機構(IPA、藤原武平太理事長)が債務保証することで、優遇金利、無担保で融資が受けられる。融資限度額は初回1億5000万円で、さらに資金需要があれば再度1億5000万円まで、合計3億円までの融資が利用できる。中小のソフトウェア会社は運転資金、つなぎ資金の調達などで苦しんでいるケースが多く、これを資金面で支援することで業界の活性化につなげていく。

会員向けに低金利、無担保で融資

 「ガンバレIT!融資制度」は、正会員、準会員からの申し込みをJPSAが受け付け、IPAに紹介。IPAは正会員、準会員から債務保証の申請をしてもらい、債務保証の可否を決める。債務保証の決定後、正会員、準会員はJPSAに会員であることの証明書を発行してもらい、その上で金融機関に融資を申請し、融資を実行してもらう仕組み。

 取り扱い金融機関は、東京都民銀行、横浜銀行、八千代銀行、朝日信用金庫、西武信用金庫で、2.0%前後の優遇金利で融資が受けられる。これにIPAの保証に対する手数料率0.75%を加えた2.75%前後が実質的な金利となる。

 IPAによる審査や金融機関による独自審査を経て、申し込みから最短3週間でのスピード融資が可能。IPAでは審査にあたって、中小企業金融に関する信用リスク測定を実施しデータベース化を図っている有限責任中間法人、CRD協会(引馬滋代表理事)のスコアリングを加味しながら、財務審査と技術審査を行う。

 JPSAでは、「知的財産であるソフトウェア産業の育成に向け、協会として金融面などのインフラ環境を整え制度として確立していきたい」(淺田会長)との方針のもと、淺田会長が委員長を兼務する政策委員会の下部組織として、「金融支援研究会準備会」を昨年度に設置。約1年をかけて調査研究を進めたうえで、今年度から同準備会を「金融支援研究会」に衣替えし、制度化を目指してきた。

 金融支援研究会の主査として取りまとめを行ってきたオービックビジネスコンサルタント(OBC)の和田成史社長は、「ソフトウェア会社は全国に数万社あるが、その大半が従業員10-20人規模の中小、ベンチャー企業で、運転資金やつなぎ資金の調達に苦労しているのが実態。不動産などの担保に拠らず、CRD(クレジットリスクデータベース)によるスコアリングを加味した融資利用環境を、この制度を通じ広げていきたい」とし、優れた技術がありながらも、担保をほとんど持たない中小ソフトウェア会社に利用を働きかけていきたい考え。

 現在、無担保・無保証のビジネスローンを都銀などで利用した場合、金利は10-13%前後と高く、融資限度額も500-1000万円程度にとどまることから、「かなりの優遇条件で融資が受けられる」(山内敏嗣専務理事)とJPSAでは見ている。

 現在、JPSAの会員数は正会員が約400社、準会員が約70社で、合わせて約470社が今回の融資制度の利用対象となる。JPSAでは、「1件あたりの融資額が平均3000万円として、年間ベースで100件程度、総融資実績で年間30億円規模」(同)を見込んでいる。

 制度の普及に向け、現行の会員企業に加え、JPSAと親密な関係にある関東ITソフトウェア健康保険組合(ITS)の加入企業約4700社にも利用を呼びかけていく方針。健保組合加入企業にJPSAの正会員、準会員になってもらい、利用を促す。さらに、今後のJPSA金融支援研究会では、中小企業が持つ売掛債権をファクタリング会社に売却することで資金調達するファクタリングモデルなどの制度化も研究し、金融支援の幅を広げる。