【上海発】上海の繁華街、淮海路のそばに、地元の人のみならず上海に来ている外国人にも大変有名なニセモノ市場「襄陽路市場」がある。

 その襄陽路市場が年内5月までに撤去されることが、新年明けの1月4日に報道された。「上海市工商行政管理ワーキングミーティング」で副市長が、襄陽路市場について、移転ではなく撤去するのだと重ねて表明した。襄陽路市場は、上海市の最も大きな商店街の1つであり、年間売り上げが5億元に近く、税収は約2000万元だ。

 顧客には、高くてなかなか入手できないブランド品に憧れる若者や、外国から来ている観光客も少なくない。ある意味で文化的な価値があるということで、「庶民ファッションランドマーク」とも呼ばれている。

 このような存在に対して、撤去の決定にたどり着くには、一定の勇気と気迫が要るだろうが、この決定には中国政府のニセモノ撲滅の決心が表明されている。中国のニセモノ製造、販売は、いくら取り締まってもやまない状況で、いたちごっこになっている。

 襄陽路市場の処置は昨年末に行われた中米知財ラウンドテーブル会議でも言及されていたことから、この市場の閉鎖には戦略上の考慮が色濃く見える。ニセモノに頼る繁栄であれば、むしろ却下するとの姿勢を当局が世の中に見せたいのだろう。

 北京にも、襄陽路市場と同じような市場「秀水街」が存在しているが、昨年11月に英、仏、伊三国のブランドメーカーが連携して、秀水街のニセモノ販売業者5人に対する訴訟を北京地方裁判所に提起した。5人にブースを貸している秀水街市場管理会社も、管理不備やニセモノ販売の助長を理由として被告になった。

 原告のブランドメーカーはニセモノの販売中止と250万元の損害賠償金を請求し、昨年12月19日に、秀水街市場管理会社と販売者に対して、ニセモノ販売の即時中止と合わせて罰金10万元の支払いを命じる判決が言い渡された。

 全国にはこのような市場は数え切れないほど存在しており、単に襄陽路市場を閉鎖しただけでは、ニセモノが中国から消えるわけではない。知的財産権保護は、まだまだ遠い道のりなのだ。

 一方、中国は「科学発展観」など一連の斬新な概念を打ち上げ、経済成長を不退転の決意でアピールしている。革新への原動力を確保するには、知的財産権保護の環境づくりが不可欠になるが、中国のサービス業が発展するにつれて、知財保護環境を改善する内在的なモチベーションが高まっているようにも見える。

 いうまでもなく、WTOに加盟している以上は、先進国からプレッシャーをかけられるという外因もある。改善プロセスはどれくらい時間がかかるのか今後とも注目すべきだ。
魏鋒(ウェイ・フェン=ACCS上海事務所担当、shanghai@accsjp.or.jp)