住商情報システム(阿部康行社長)は、リッチクライアント言語「Curl(カール)」を利用した事業を本格的に拡大する。「カール」の開発元である米カールから知的財産権を2004年5月に取得。これ以降、リッチクライアントが本格普及期を迎え、導入数は急速に伸びたが、買収資金や開発投資などを回収できていないため、来年度(07年3月期)に向け単体事業ベースで利益を上げる戦略を打ち出す。3月からは、「カール」を使ったASP(アプリケーションの期間貸し)サービスを開始したほか、開発者向けの無料セミナーを始めるなど、IT市場への普及を目指す。

 クライアントサーバー(C/S)型システムをウェブシステムに移行する際、操作性や画面制御の低下、サーバーからのレスポンス悪化を招く。だが、「カール」を利用することで、こうした問題を解消でき、アプリケーションの変更や修正、アップデートなどの管理コスト負担も軽減できる。

 ウェブシステムへ移行する動きが盛んになっていることを受け、「カール」は国内売上高が毎半期ごとに2倍ずつ成長。「それでも、普及速度は当社予想より遅い」(古賀実・Curl事業部システム営業部長)と、業務アプリケーションをASPで提供するベンダーに対し、「カール」を利用した「リッチクライアント環境構築サービス」の提供を開始。低価格を売りに「カール」の認知度向上と普及を図る。

 同サービスのライセンス料は、クライアント数無制限で年間150万円の定額制。ASPを提供するベンダーは、企業のクライアント数増加に伴い、サーバーの性能増強を迫られる。これらを解決するため、「カール」技術で、すでに稼働中のASPサービスのフロント部分をクライアント側に移行し、サーバー負荷を軽減させる。

 また、販売の大半を占めるSIerや「カール」を自社製品に組み込み販売するISV(独立系ソフトウェアベンダー)のパートナーを増やす。来年度は「パートナーなどにカールの良さを伝える」(古賀部長)ことを重視し、「カール」言語の基礎知識や開発環境を使ったプログラミングなど、開発者向けに無料セミナーを2月から開始、さらに拡充する。現在のパートナー数は40社。来年度は1年間で20社増やし、計60社にする計画だ。

 「カール」は三菱東京UFJ銀行の「個人資産分析ツール」など、大手企業を中心に約200社に導入し、自治体でも長崎県が「電子申請システム」で採用している。「カール」を組み込んだパッケージは、「クレジット基幹業務システム」で採用したTISなど14社。