富士通(黒川博昭社長)は、シンクライアント領域で台数シェア20%を目指す。先行他社に比べて品揃えを抑制していたことなどから昨年度(06年3月期)の出荷台数は出遅れ気味だった。今後1-2年で品揃えを拡充し、シェア拡大を図る。

 来年度末までに企業向けパソコン全体で年間出荷台数の約1割に相当する70-80万台がシンクライアントへ移行すると強気な姿勢を示すメーカーがある一方、富士通は慎重な見方を崩さない。昨年度の出荷台数は3-4万台、今年度は10-20万台、来年度は「多くても40万台程度」(叶忠之・パーソナルマーケティング統括部クライアントPCグループプロジェクト課長)と見通しを語る。70-80万台に達するのは08-09年度にかけてだと見ている。

 複数あるシンクライアント技術の見極めにも十分な時間をかける。昨年度、富士通のシンクライアント販売台数のうち比較的古くからある画面転送型が全体の8-9割を占め、残り1-2割が独自に開発したネットブート型だった。画面転送型は通信速度が遅いLANや低スペックのパソコンでも対応でき、初期導入コストの安さが人気。これに対して、富士通のネットブート型はリナックスにのみ対応していて用途が限定される傾向があったために、少数派になっていた。

 ほかにも、仮想PC型やブレードPC型など多様な方式があるものの、現時点で富士通は品揃えしていない。「技術的には対応は可能だが、どの方式が主流になるのか見極める」必要があることから、製品戦略を慎重に練っているものと見られる。

 優先的に検討する方式としてはウインドウズ対応のネットブート型で、その次にパソコンの機能をサーバー上で仮想化する仮想PC型を検討する方向だという。ネットブート型は自社技術を主とするのか、アーデンスなど他社技術をベースとするのか「顧客の需要を見ながら決める」方針。

 ボリュームが出てくるのは来年度以降と見ている富士通では、多少品揃えのタイミングが遅れても十分に巻き返せると見る。シンクライアントの需要は確実に拡大しており、最終的には企業向けパソコンについて20%以上のシェア獲得を目指す。