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中国のフラットテレビ商戦 北京オリンピックに向けて激化 外資系メーカーは総じて苦戦強いられる

2006/04/24 13:01

週刊BCN 2006年04月24日vol.1135掲載

【上海発】2008年のオリンピックイヤーには、中国におけるフラットTV需要は2200万台に膨らむ見込み。しかし今のところは、中国地場メーカーの低価格路線を前に、フィリップス、松下電器産業、サムスン、LGなど外資系は苦戦を強いられているようだ。

 中国のマーケットリサーチ会社「中怡康時代市場研究公司(CMM)」によれば、05年の中国市場におけるフラットテレビ(薄型TV)の販売台数は、前年の4倍に達し、170万台を超えたもようだ。

 また同社は06年の販売台数については、05年の2.8倍に相当する478万台に達し、中国全体の需要の13%を占めるだろうと予測。さらに北京オリンピックが開催される08年の販売台数は、2200万台を超えると推測している。

 CMMが示した05年のデータによれば、フラットテレビの販売台数シェアは、1位が海信(ハイセンス)で2位が創維(スカイワース)。それぞれ04年比2ケタの伸びとなった。

 逆に04年のトップシェアだった厦華(Xoceco、ソセコ)は1ケタの伸びにとどまって第3位に。サムスンやLGなどの韓国勢を含めて外資は苦戦しており、松下電器やフィリップスもシェアを下げている。

 フィリップスは05年9月に中国ディスプレイの大手企業である京東方科技集団傘下の冠捷科技(TPVテクノロジー)との事業統合(ディスプレイおよびフラットテレビ)を完了し、TCLにも積極的に資本参加した。さらに韓国LGとの提携も強化している。しかし積極的に低価格化を進めた中国メーカーに比べれば、外資系は総じて伸び悩んでいる。

 とはいえ、台数と同じく販売金額でも1位だった海信を除けば、販売台数と販売金額は必ずしも相関しているわけではない。松下電器は、販売台数シェアを大幅に落としたにもかかわらず、販売金額では2位を維持しており、販売台数シェアで6位につけている康佳(コンカ)は、販売金額では12位に低迷している。中国メーカーは総じて、販売台数だけをみれば大幅にシェアを伸ばしているが、販売金額は明らかに伸び悩んでいるといえよう。

 ただし販売金額シェアが実際に低下しているのはむしろ外資のほうで、松下電器のほかでは東芝が04年に比べて1.9ポイント、サムスンが1.7ポイント、フィリップスが0.9ポイント、それぞれダウンしている。LGに至っては3.8ポイント減となっている。

 また主要メーカー以外のシェアが販売台数、販売金額ともに04年に比べて低下しており、よりメジャーなブランドへの集中傾向が顕著になってきたということもできるだろう。今年は外資も製品価格の引下げに踏み切ることも予想され、主要メーカー間のシェア争いはさらに激しくなりそうだ。
森山史也(サーチナ総合研究所リサーチャー)
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