【上海発】4月6日、訪米中の呉儀副総理は、ロサンゼルスで中国の大手パソコンメーカー清華同方社、TCL社とともにマイクロソフト(MS)とのGWEP(Genuine Windows Experience Program)調印式に出席したことが報道された。中国でそれぞれ売上高3位と4位を占める両社は、今後自社製品にWindows正規版を搭載して出荷していくことで合意した。

 同契約によると、今後3年間で、清華同方社は1.18億ドル分のWindowsOSを仕入れる予定で、TCL社は同取引金額が6000万ドルになるという。なお、この調印後、中国市場1位のレノボ社、2位の方正社も同じような契約をMSと結んだ。取引金額はそれぞれ、10億ドルと2.5億ドルになる見通しである。

 本来、PCには正規版OSがプリインストールされているべきだが、各PCメーカーは市場で優位に立つために低価格戦略をとり、次々と「裸PC」または「LinuxプリインストールPC」を市場に出した。こういったメーカーの動きは海賊版の横行を助長した。エンドユーザーがPCを安く買えるメリットにはなるが、付随するデメリットも無視できない。例えば、マイクロソフトがアクティベーションや強制的なオンラインアップデートといった海賊版対策を強化しているため、PCが突然使えなくなることがある。ある調査によれば、海賊版OSに起因するシステムクラッシュは一般ユーザーのPCトラブルの7割を占めるという。メーカーにもクレームが多数きている。

 しかし、大手のPCメーカーはOSのプリインストールがユーザーにもたらす長期的な価値を認識しており、MSと契約を結ぶモチベーションになったとみられる。

 また、WTO加盟で知的財産権保護の約束を実現する一環として、政府からPCメーカーにプレッシャーがかかったとも考えられる。

 報道によると、今回のMSとの契約にかかる費用はそれぞれメーカーの負担となり、政府は助成しないという。ただし各メーカーは、MSから優遇され、契約価格は100─200元/ライセンス程度で済むとみられる。

 MSは、昨年末に設立した正規ソフトウェア事業部で、4月から「正版増値計画」(Windows Genuine Advantage Program)を展開し始めた。北京、上海、広州など7つの都市で、一連のマーケティング活動を通じて正規版のメリットを宣伝していく。一時的にはマイクロソフトがこの正規化プロセスの最大受益者かもしれない。しかし、長い目で見ると、中国のソフトウェア産業のためになるに違いない。
魏鋒(ウェイ・フェン=ACCS上海事務所担当、Shanghai@accs.or.jp)