国内ストレージ市場が戦国時代に突入した。現在、日立製作所が4分の1ほどのシェアを占めてトップに君臨、以下、富士通、日本IBM、日本ヒューレット・パッカード、EMCジャパン、NECなどが続く。ここ数年、この構図に大きな変化がなかったが、企業内データの容量増加にともない、大企業に限らずSMB(中堅・中小企業)での需要増大など裾野が広がっていることから、各社ともシェア拡大を図る戦略に切り替えている。競争の結果次第では、国内市場の勢力図が変わる可能性が出てきた。

 国内市場の勢力図が変化する可能性として大きな動きをみせたのは、EMCジャパンとNECだ。このほど両社は、開発や販売で提携を強化。「2008年度(09年3月期)までにトップシェアを獲得する」(NECの川村敏郎副社長)としている。来年度早々にエントリーモデルを市場に投入する。NECとEMCのシェアは、現段階で両社ともに10%未満だが、「両社を合わせれば、トップシェアへの射程距離内に入る。08年度には国内売上規模で600億円以上を見込む。この売上規模を達成すればトップが狙える」(同)と試算する。

 この提携強化により、EMCからストレージ製品のOEM提供を受けているデルも、「当社にとってもメリットが大きい。中小企業に対してサーバーを含めた提案力を向上できるようになる」(桜田仁隆・エンタープライズマーケティング本部長)と期待している。

 しかも、EMCジャパンはシェア拡大を狙った動きを今年度から強化している。1月に販売代理店向け支援制度「Velocity Program(ヴェロシティプログラム)」を開始。プログラム参加企業は、現状の10社から今年末までに50社程度にまで増やす。古谷幹則・執行役員マーケティング兼パートナー営業統括本部長は、「当社の製品は、ワールドワイドで圧倒的なシェアを誇っているが、国内でシェアが高いとはいえない。それをカバーするため、販売代理店を増やし、中堅企業に拡販してシェアを高める」としている。今年末までに1000社の新規顧客獲得を狙う。マーケットシェアについては、「ミッドレンジ分野では、現状5-7%で推移している。これを16%まで引き上げる」としている。ほかにも、中小企業に特化した販売支援制度の設置も検討しているようだ。

 デルでは、中堅企業向けストレージ事業の拡大を図っており、サーバーで獲得した顧客企業に対してストレージ機器の販売を押し進めていく。桜田本部長は、「国内ストレージ市場の成長率は5%程度といわれている。この3-5倍は伸ばしていく。ストレージ機器は、販売比率がサーバーの20%程度で推移していたが、今年度(07年1月期)末までに25%まで引き上げる」方針。

 5位以下のメーカーの動きに上位メーカーも黙ってはいない。国内2位の富士通は、大企業向け製品の一新で既存顧客を確保、SMB向けにシステムパッケージ化を図り新規顧客を開拓していく。これにより、「近い将来に、国内シェアで20%を目指す」(佐々木一名・プラットフォームソリューションセンタープロダクトマーケティング統括部エンタープライズサーバ部長)方針を掲げる。

 トップを独走する日立では、「他社が事業拡大を図っている状況下で、決して安閑としていられない。統合データ管理である『DLCM(データ・ライフ・サイクル・マネジメント)』を他社との差別化策とし、国内市場でのトップシェアを不動のものとする」(田渕英夫・事業企画本部製品企画部主任技師)と言い切る。

 メーカー各社が提携強化や製品ラインアップの増加などでシェア拡大に力を注ぐのは、これまで“サーバーシステムの付随品”との位置づけだったストレージ機器に対する顧客ニーズの変化が最大の要因。データ容量の増大とともに、サーバーとは別にストレージシステムのリプレースを進めるユーザー企業が増えているためだ。今後は、各メーカーのシェア争いが激しくなることは間違いない。