【上海発】最近5年間の中国における半導体産業の発展はめざましく、特にIC(集積回路)業界は年平均30%の成長を続けている。だが、恐るべきペースで膨張し続けているIC需要に生産規模が追いつかず、需給ギャップは拡大するばかりだ。

 中国のIC産業はここ十数年、発展し続けており、特に国務院が2000年6月に打ち出した「ソフトウェア産業と集積回路産業の発展を奨励するための若干の政策」以来、急成長している。中国半導体協会の兪忠理事長はその傾向を以下の三点にまとめている。

1. 中国国内の生産および産業規模が急拡大しており、00年─05年のIC生産量とその売上高は年間平均30%を超えている

2. 技術水準が格段に飛躍。微細加工 レベル(デザインルール)の主流は00年の0.25μm(ミクロン)から現在では0.18μmになっており、一部企業ではさらに進んでいる

3. 改革開放を経て、国有企業、民間企業、外資系企業の3種類のICメーカーが競争原理のもとでそれぞれ発展をみせている

 05年の中国のIC産業規模は前年比28.8%増の702.3億元(約9800億円)に達した。そのうちIC設計業が前年比52.5%増の124.3億元(約1700億円)、ウエハー製造が同28.5%増の232.9億元(約3200億円)、組み立てが同22.1%増の344.9億元(約4800億円)となっている。

 中国半導体協会の予測によれば、中国のIC市場規模は06年には個数ベースで950億個、10年には1500億個と、今後も成長を持続するものとみられる。一方で兪理事長は、中国のIC産業の問題として以下の点をあげている。

1. 独自技術の開発能力不足

2. 産業規模が市場規模に比べてまだ小さく、供給が需要に追いつかない

3. 産業チェーンの川上と川下がアンバランス。例えば、半導体製造設備の自給率は2%以下、半導体材料の自給率は10%以下など

4. 慢性的な人材不足

5. 投資額が大きいわりにはR&D(研究開発)への投下が不足している

 前述の通り05年のIC産業規模は約700億元だったが、06年の市場規模予測は4800億元(約6兆7000億円)に達する。この差は輸入で埋めざるを得ない。04年時におけるIC輸入は600億ドルだったが、当時の石油関連製品の輸入額より30%も多かったというデータも発表されている。さらに05年の輸入額は前年比34.9%増の788億ドルに達している。

 大幅な貿易黒字が国際問題となっている中国で、ICだけがその解消に一役買っている形だが、現地での供給不足が顕在化している以上、決して楽観できる状況ではない。また鉄鋼やセメント、アルミなどでは生産能力が需要を大幅に上回り、これまでの乱雑な設備投資による生産過剰で悩んでいる。そんな折りにICだけが不足しているという実態は、中国の産業構造全体にとっては不安定要素でもある。
森山史也(サーチナ総合研究所)