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無料IP電話の普及に向け大同団結 アマゾン、ニッセンなど7社が連合 年内に100万ユーザー獲得を目指す

2006/06/12 17:54

週刊BCN 2006年06月12日vol.1141掲載

 PC版無料IP電話サービスの普及に向けて、アマゾン・ジャパン、イーバンク銀行、石丸電気、エイチアイエス、ニッセン、ノジマ、ローソンの7社が連合を組む。ITベンチャーのエニーユーザー(宮町秀恒社長、東京都六本木)が開発したPC版IP電話サービス・システム「freep」(フリープ)を利用するためのソフトウェアやメンバーカード(freepカード)などを、自社のユーザーに無償もしくは有償で配布することで利用者の獲得を目指す。

 freepはインターネットで専用ソフトをダウンロードし、freepカードに印刷された8桁の番号とログインパスワードを入力するだけでシステムと接続できる。PC画面に表示される携帯電話から相手先番号を入れ、通常の固定電話や携帯電話、「050」のIP電話と通話できる。市販のWebカメラを使えば、双方向のビデオ会議も可能で、インターネット・プロバイダの制約はない。利用料金はfreepユーザー間の通話は無料、固定電話は3分8.3円、携帯電話は1分18.27円、「050」番号取得オプションは初期手数料が2100円、月額基本料金が315円となっている。

 総務省によると、国内でのインターネット利用者数は約8000万人、家庭への普及率は87%に達している。e-Japan施策によってブロードバンド化が急速に進み、NTTは2009年度にも全面的にIP電話サービスに移行すると見られている。こうしたなかでPC版IP電話サービスとして「Skype(スカイプ)」の利用が広がり、ヤフーの「ヤフーBBフォン」、グーグルの「グーグル・トーク」などが注目を集めている。

 今回、7社がfreepの普及に協力することになったのは、「freepが唯一の国産システムであること」(寒河江勤・石丸電気PC本店店長兼営業本部情報統括)と、「設定や操作が簡単で、当社の顧客の9割を占める女性に受け入れられる」(ニッセン)などの理由によっている。

 各社が保有する既存会員はアマゾン500万人、イーバンク銀行150万口座、ニッセン2100万人などとなっており、「年内には100万ユーザーを獲得できる」とみている。

 各社の具体的な普及策は、アマゾン・ジャパンでは「Amazon.co.jp」で商品を購入した人に、ニッセンはニッセンオンラインで3000円以上の買い物をした人に、それぞれ無料でfreepカードを発送する。イーバンク銀行はfreepから一般電話への通話料金の即時決済サービスを提供する。石丸電気は全店舗でPC関連商品を3000円以上購入した顧客に、ノジマは全店舗でPCを購入した先着1万人にfreepカードを、エイチアイエスは全営業店で旅行・航空券手配をした人にfreepカードとスターターパックを贈呈する。ローソンは全国8300店舗でfreepスターターキットを500円で販売する。

おおぜいの顧客を抱える有力7社の大同団結によって、IP電話の普及に弾みがつくとみられる。
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