【北京発】IBMのPC事業買収手続きを完了した2005年5月以来、「聯想(レノボ)」の海外業務は、3四半期連続で順調に推移しており、財務報告にもその旨が記載されている。一方、中国国内の業績も好調を維持しており、PC部門の営業収入は前年比33%増を記録、税引前利益は同45%増となった。

 好調続くレノボの曹之江・副総裁は、このほど行われた「2006年中国電子情報企業トップ100(電子信息百強企業)」表彰式に出席し、現地メディアのインタビューに答えて1年前の大型買収と中国企業の国際化について語っている。

 それによれば、レノボは00年頃から、海外数か国で小規模な投資を行いながら、徐々に地歩を固めるという手法で国際化の道を探っていた。

 しかし中国ブランドは海外ではまったく影響力がないどころか、低品質・低価格の代名詞だったため、このような手法では真の国際化は非常に難しいことが分かったという。

 「ブランド力がなければ人材も集まらない。したがって業績も伸びない。そのため経営陣は方向転換を図り、ブランド力のある買収対象を探すことにした。それが国際化への最短ルートであると判断した。そこにちょうどIBMが現れたというわけだった」と同氏は当時を述懐した。

 しかし、IBMのPC事業を買収する対価として、中国企業にとっては前代未聞の総額17億ドルという金額が、はたして割りに合うものだったのだろうか。第三者がその答えを求めるのは困難かもしれないが、今回のインタビューで同氏は「お買い得だった」と断言している。

 一方、曹副総裁は国内の有力企業向けに、中国企業が成熟した海外企業を買収しようと思えば、自社にもそれ相応の強みがなければならないとメッセージを発するのを忘れない。

 「レノボには、過去十数年の間に磨き上げた事業モデルとそれに基づく競争力、そして中国市場における中小クライアント獲得経験などの基盤があった。こうした強みがあったからこそ、われわれは世界的なグローバル企業と同じ土俵に立てたと思う。だから(レノボのIBM買収は)決してただ単に資金があったから成功したというわけではない。いずれにしても、コアテクノロジーを保有している、市場での優位性があるなど、何らかの強みがあることは必須条件だろう。それはまた、お互いに尊重し合い、認め合う素地を早い段階で形成するための源泉でもある」と強調した。

 さらに同氏は「国際化とは商品に英文ロゴを貼りつけることではない」と指摘。買収後の事業展開において、そのことを身をもって会得できたと述べている。事実、レノボは本部をニューヨークに定め、米・デル社の幹部をCEOに迎えるという激震人事を実行に移して真の国際化に向かって邁進しているのである。

 レノボは国際化の第一人者と呼ぶにふさわしい企業ではあるが、その戦略の成否は今後の中国企業にも大きな影響を与えよう。レノボブランドが世界的にどの程度認知されるかがポイントだろうが、この点について曹副総裁はあくまで楽観的なようにみえる。

 それは、まるで彼が中国産業界の代表であるかのように「中国はすでに製造大国であると同時に輸出大国でもある。企業の国際化すなわち資本輸出がさらに進めば、中国の国際的なイメージは確実に向上する」と、自信たっぷりに語っていることからも明らかだ。
森山史也(サーチナ総合研究所)