日本ヒューレット・パッカード(日本HP、小田晋吾社長)は、企業向けインクジェットプリンタの販売を強化する。同社のインクジェットが対象にしているSOHOや中・小規模オフィスでも、パソコンを複数で利用するケースが増えていることから、6月中旬に発売した新機種にネットワーク機能を搭載。家庭向けインクジェットや高価なカラーレーザープリンタを導入している企業に買い換えを促す。販売目標台数は公表していないが、インクジェット製品群全体で例年の2倍を見込んでいる。

 SOHOや中・小規模オフィス向けには、国内プリンタメーカーがカラーレーザープリンタの売り込みを活発化している。しかし、レーザープリンタは高価なので「小規模な企業は価格を見て敬遠するケースが多い」(徳永信幸・コンシューマ・SMBマーケティング部部長)と、低価格のインクジェットのほうがニーズが高いと分析する。

 同社が各調査機関のデータを基に集約した結果によると、企業に導入されている家庭向けのインクジェットは国内に約100万台あるという。まずは、この市場を狙うため、広告宣伝などを積極的に展開している。

 新たに投入したインクジェットは3機種。最も低価格の機種「HP Officejet 6310 All─in─One」は、同6210の後継機で、新たにネットワーク機能を搭載したほか、ADF(自動原稿送り装置)を利用してスキャンやファックス送信などができ、2万円(1万9950円)を切るA4対応機。このほかの2機種「HP Officejet Pro K850」(3万9900円)と「HP Officejet Pro K850dn」(4万9980円)はA3対応機で、「レーザーを凌ぐ高速印刷と低ランニングコストを実現した」(徳永部長)という。同K850dnはA3自動両面印刷にも標準で対応している。

 同社の直販サイト「HP Directplus」から直接購入できる。代理店契約を結ぶ大手流通・卸やSIerなどは、同サイトを介し企業へ供給することもできる。代理店には、購入金額の一定比率を紹介手数料として支払う。一部大手量販店では、同社のインクジェットを店頭販売しているが、この流通経路を拡大する予定はない。

 企業向けインクジェットは、一部のプリンタメーカーが撤退を表明。インクジェット販売を強化しているのは、ジェルジェットプリンタを出すリコーなど少数だ。

 徳永部長は「当社のインクジェットは家庭向けインクジェットと企業向けレーザーの中間に位置する。他社との棲み分けができており、確実に需要は拡大する」と話している。