【北京発】3月30日、信息(=情報)産業部、国家版権局、商務部は合同で「コンピュータの正規オペレーティング・システムのプリインストールに関する通知」(以下、「PC正規ソフトプリインストール通知」)を公布した。あれから3か月、実態はどうなっているかを考察する。

 熾烈な価格競争のあおりを受け、ヒューレット・パッカードやデルのような国際的なメーカーを含めたすべてのメーカーが、OSを搭載しない「裸PC」かDOSプリインストールPCを市場に出していた。これが、海賊版が蔓延する大きな要因ともされており、こういった状況を改善するため、正規ソフトをプリインストールさせることで、最も重大な海賊版流通ルートをふさぐことが求められている。「PC正規ソフトプリインストール通知」公布の一環としての措置である。来年はこの活動だけで不正コピー率が10─20%下がる見込みだ。

 実態を調査するために、電脳城(電器街)を回ってみた。確かに宣伝どおり、レノボPCにはすべてWindows XPがプリインストールされているものの、中小メーカーのマシンやDIYマシンにはなんとFreeDOSがプリインストールされている。FreeDOSとは、MS-DOSに代わるオープンソースのもので、GPL(General Public License)で発行されているものである。上手に対応しているなと驚いてばかりはいられない。

 「PC正規ソフトプリインストール通知」で最も恩恵を受けたのはマイクロソフトに違いない。主要PCメーカーのレノボ、方正(Founder)、清華同方、TCLはそれぞれマイクロソフトとWindows のOEM契約を結んだ。4社は購買量が多いほか、マイクロソフトの中国政府への協力によって、かなり安い値段でOEMライセンス契約ができたという。

 ただし、必ずしもマイクロソフトから主流PCメーカーと同じ値段でOEMライセンスを購入できるわけではない。ゆえに、コストを安くするため、法律の隙につけ入り、LinuxかFreeDOSをプリインストールすることが彼らにとってはベストソリューションになるだろう。「PC正規ソフトプリインストール通知」では、Windowsをプリインストールしなければならないと義務づけているわけでもないからだ。プリインストールされたソフトを使い続けるかどうかはユーザーの責任になってしまう。また、法令が施行されても、プリインストールから生じる二次海賊版問題を根絶できるわけではない。

 主流PCメーカーのみならず、ほかのメーカーにもWindowsをプリインストールさせるためには、マイクロソフトにさらにOEM版を値下げしてもらうしかないとオブザーバーたちは考えているようだ。この問題について、マイクロソフト副社長兼グレーターチャイナCEO陳永正氏は、「次は地方ブランド、DIY市場、インターネットカフェ、システムインテグレータなど海賊版がより集中している分野を狙いたい。Windowsは中国市場においてかなり大きなスペースを持っている」と評価していた。一体どのような対策を打ち出すのか注目したい。
魏鋒(ウェイ・フェン=ACCS上海事務所所長、Shanghai@accs.or.jp)