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日立ソフトウェアエンジニアリング 内部統制支援サービスを展開 3年で累計30億円の売り上げへ

2006/08/28 17:59

週刊BCN 2006年08月28日vol.1151掲載

IT基盤整備を軸とした需要見込む

 日立ソフトウェアエンジニアリング(日立ソフト、小野功社長)は内部統制ITフレームワークを独自に策定して、ITの側面から顧客企業の内部統制強化(日本版SOX法)支援を本格化する。2009年3月期決算からの日本版SOX法の適用を受けてセキュリティやシステム運用管理などIT基盤整備の需要を中心に取り込む。今年度(07年3月期)から09年3月期までの3年間で累計約30億円の内部統制関連の売り上げを目指す。

 米国の株式市場に上場している企業グループは一足早く内部統制強化を済ませたものの、国内の上場企業は文書管理やワークフローの整備を急ピッチで進めている段階だ。企業内における内部統制の枠組みが整う「今年度下期から来年度にかけてIT基盤関連などの投資が拡大する」(吉村雅典・内部統制ビジネス推進本部ソリューション開発部部長)と予測する。

 日立製作所の連結対象企業である日立ソフトでは今年4月から米国基準の内部統制の本番運用をスタートさせており、自らの経験と照らし合わせて比較検証するベンチマークサービスを7月から国内企業向けに始めた。内部統制の整備に着手している企業を対象として、来年度初頭までに50-100社程度にサービスを提供する見通し。

 顧客企業内の内部統制の枠組みができあがってくれば、ITを活用した効率化や自動化が求められるようになる。ベンチマークサービスなどを通じて接点を増やし、IT需要が見え始めた段階でセキュリティやシステム運用管理など、「当社の内部統制ITフレームワークに基づいたIT基盤整備の提案」(野田勝義・内部統制ビジネス推進本部ビジネス企画部シニアコンサルタント)を行っていく。

 具体的にはセキュリティの「秘文」、文書管理の「活文」、システム運用管理の「JP1」など日立グループの売れ筋製品をベースに売り込む。

 来年度は日本版SOX法に準拠した内部統制強化の試験運用が本格化するフェーズに入ることから、「顧客企業は実際に運用に直面してさまざまな問題点に気づく」とみられている。

 直面した課題を解決するために、より高度なIT活用がすすむことも考えられる。本番運用が始まったのちもIT需要は続く見通しで、将来のBPR(業務プロセスの見直し)も見据えた息の長いビジネス展開を図る。

 自社のSEなどの人員数に限界があることから、日立ソフトが主体となり積極的に顧客の内部統制整備に乗り出すことはせず、ベンチマークサービスや本業であるIT領域に経営資源を集中させる。09年3月期以降は内部統制関連の作業量が減ることも考えられるため、IT以外の領域に大量のSEを投入するのはリスクが高いと判断したことが影響している。
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