【北京発】2008年の北京五輪開幕まで残すところちょうど2年となった今年8月8日、1年前にIBMのPC部門を買収して世界を驚愕させた中国の「聨想(レノボ)」が五輪公式モデルのPCを発表した。これを機に同社の脱「IBM」ブランド戦略は一挙に加速しそうだ。

 公式モデル「新開天」(デスクトップPC)の発表会では中国エリア総経理を兼任する陳紹鵬・副総裁が、「北京五輪まであと2年という時期に公式PCを発表したことで、われわれの北京五輪商戦が本格的に始まった」と、着々と進めているブランド戦略に自信を示す発言を行った。さらに、北京五輪組織委員会に対して、「新開天」だけでなく、サーバーやプリンタなど数万台のPC関連製品を提供することも約束した。

 初の北京五輪公式PCとなった「新開天」は聯想の3か所の開発センターが共同開発したもので、開発には12か月をかけ、数百人のエンジニアが延べ160項目に及ぶテストを行ったとされる。

 それからさかのぼること1週間、同社のウィリアム・アメリオ総裁兼CEOはニューヨークタイムズ紙のインタビューに応じ、IBMのPC事業買収後の成果に満足していることや、今後の聯想の四大発展戦略などを明らかにした。

 7月29日付のニューヨークタイムズ紙に掲載されたこの記事の中でアメリオ総裁は、IBMのPC事業買収後の成果について、「業績が20-30%悪化すると予測したアナリストもいたが、実際は7%の減少にとどまっている。しかも出荷台数は2%増となっており、クライアントの95%以上は以前と変わらない」と述べた。不採算部門の買収を疑問視する声が大きかっただけに、この発言は業界の注目を集めた。

また同総裁は、今後の重点戦略を次の4点にまとめた。

世界各国におけるサプライ・チェーンの効率を中国市場と同水準にまで引き上げること。

国際市場での販売台数を増やし、PC事業をさらに成長させること。

特にタワーPCの国際市場での競争力を中国市場と同水準にまで引き上げること。

IBM色を薄めて、聯想ブランドをいっそう強化していくこと。

 このうち、の聯想ブランド強化方針は、すでに誰の目にも明らかな形で実行に移されている。先日イギリスで販売が開始されたThink Center A60で、Thinkシリーズとしては初めてAMD製のプロセッサを採用し、本体正面のロゴをこれまでの「IBM」から「Think Center」に変更しているのだ。

 こうした脱IBM化に向けた動きの速さは、大方の予想を上回るものだといえよう。なぜなら、IBM買収時の条件では、聯想は買収後5年間にわたってIBMブランドを使用できることになっているからだ。このことに関してアメリオ総裁は、「われわれはIBMというブランドを使用することができるが、多くのユーザーがそれを早く捨てることを望んでいるので、会社としてもこうした要望にできるだけ早く応えたい」と自信満々に語っている。

 今後は、いっそう聯想ブランドへの移行が進みそうだ。
(サーチナ総合研究所 森山史也)