SRA(鹿島亨社長)の地域子会社SRA東北(北原亨社長)は、情報処理推進機構(IPA、藤原武平太理事長)が行う「自治体におけるオープンソースソフトウェア活用に向けての導入実証」で、山形県の文書管理システムを請け負う。SOA(サービス指向アーキテクチャ)を取り入れる考えで、単なるオープンソースソフトウェア(OSS)の文書管理システムだけでなく、OSSを使ったSOAの実用性を検証する舞台となる。システム構築期間は約4か月で、来年2月にはその成果が判明する。

 SRAはもともとOSSを活用したシステム開発事業を強みとしているが、今回採択を受けた理由は、OSSへの取り組みが評価されただけではない。SRAの鹿島社長は、SOAを2-3年前から中期的戦略分野に据えており、徐々に成果を出しつつある。SOAの実行基盤を無償公開しているほか、今年9月には開発基盤「ASIMA(アシマ)」の有償販売を開始。無償公開しているSOA実行基盤は、これまで600ダウンロードを超えた。

 ASIMAは今年度(2007年3月期)で100本の販売を狙う。来年早々には、既存のアプリケーションを容易にSOA環境に変換するための機能を載せた新版をリリースする計画だ。

 SOAに対するユーザー企業の関心は高まっているが、通常のシステム開発に比べて開発コストが大幅にかかってしまう。SRAでは、ミドルウェアにOSSを活用することでシステム開発のコストを低減。コストメリットを訴え、提案に生かしている。

 山形県で構築する文書管理システムでは、アプリケーションサーバーの「Tomcat」やメッセージ処理に用いる「ActiveMQ」、SOA構築に不可欠なESB(エンタープライズサービスバス)の「ServiceMix」などの多様なOSSを使用。SOAベースの文書管理システムを構築する。構築期間は約4か月間で、SRAの地域子会社であるSRA東北が中心となり、地場のSE会社とも協力して開発する。SRAでは、この実績を武器にしてSOAベースのシステム開発案件獲得に弾みをつけたい考えだ。

 SOAとは、情報システムを構成するソフトウェアを部品化し、部品とみなした各ソフトを組み合わせてシステムを構築する設計手法。区分した部品を「サービス」と位置づけるため、SOAと呼ぶ。

 1つの部品としてソフトを再利用するためには、さまざまな開発環境やプラットフォームで生み出されたソフトをつなぐ必要がある。そのつなぎ役を果たすツールが「ESB」だ。

 SRAの石原千秋・事業創造プロジェクト室部長は、「米国の大企業ではSOAベースのシステムを約40%取り入れているが、日本ではまだ数%レベル。この1-2年内に本格的な普及期を迎えることになるだろう」と予測している。